色ボケさんたち
※4号が6話後も元気に登校中
ちょっと前向きな4号
エランは今日も今日とて氷の君として精いっぱいに努めていた。精いっぱいはうそ。あんなまぬけ面の「エラン様」のために頑張ってやるのもちょっとな、という子どもみたいな気持ちからだ。エランは必要のないことにはあまり頓着せず、ファラクトの操縦が抜きん出てうまいことから任務を任せられている、はず。
死にかけからなんとかここまで持ち直したけれど、またすぐあんな目に遭うかもしれない。ならスレッタ・マーキュリーと交流を深めて自分の楽しいを埋めてみたい。それが最近のエランの密かな願いだった。
そばにあるうさぎのぬいぐるみを抱きしめる。スレッタのショッピングに付き添ったときに買ってくれたものだ。薄紅の毛皮は彼女を想起させてなんとなく安心できた。顔をうずめて目を閉じる。無機質なわたは遠い日のまぼろしほどのぬくもりは持っていなかった。
でも、そこに込められた気持ちはとてもあたたかいものであることをエランは知っている。このうさぎを見ているとショッピング中のスレッタを思い出してきた。
「ミオリネじゃなくていいの?」
と聞けば、
「エランさんと行きたいので!」
なんて。
くふくふとくぐもった思い出し笑い。こんな風に誰かと一緒にいて心がおどるなんてあの頃は想像もできなかった。
熱を持った手で触れられるたび、このひとが生きているということを思い出す。
スレッタはエランと手を繋ぐことが好きだった。なんとなしに手を伸ばせばエランは拒むこともせずスレッタにされるがまま。最初は不思議そうに繋いでいたのに、今では当たり前のように受け入れてくれた。ふしぎ。
エランさんはわたしの行為に不思議そうな顔をしていたけれど、実はわたしがわたしの行動をわかっていない。
むずむずと動かずにはいられないもどかしいこころ。付き合わせてしまったショッピングで思わずプレゼントした赤いうさぎ。
落ち着かない気持ち。エランさんのことを知っていけばこの理由もわかるのかな