02






「ハァ………」


…今日も首無は綺麗な人達に囲まれてる。

ボクみたいに男の子っぽくって子供っぽい奴が

入る隙も無いみたい。

ボクは、また溜息を大きくついた。


「どうしたんですかぁ?楓」

「あ………、つらら…………」


隣にはいつの間にか

洗濯籠を持ったつららが居た。

きっと洗濯をしている最中なのだろう。


「……んーん、別になんでもないよ」


そう言って笑うボク。

そんなボクを見て、

今度はつららが大きなため息をついた。


「なんでもなくないでしょ!

 嘘つかないのっ楓!」


つららはボクの友達であり、そして、




憧れの人





優しくて社交的で可愛くて、

無愛想で不器用で可愛くなんかないボクとは

まるで正反対。


つららの様になりたい。

つららみたいに可愛くなりたい。


いつしかボクの胸の中は

つららに対する憧れの気持ちで

いっぱいいっぱいになっていた。










――そんな事、叶うはずもないのにね。










神様は残酷。

なんでボクをこんな風に創ったんだろう。

そのおかげで好きな人に声すらかけられない。





黙ってしまったボクを

心配そうに見るつららが視界に入り、

ボクは急いで口を開いた。


「ほっ本当になんでもないんだって、つらら!

 ほらっ洗濯物が途中でしょ!?

 行った行った!」


そう言ってつららの背中をぐいぐいと押すボク。


「ちょっちょっと楓……!」


また話は終わっていないと言わんばかりに

こちらを小さく睨むが、

そんなのでひるむボクではない。


そのままつららの事を探していた小妖怪達に

つららの身柄を引き渡し、

ボクは先ほど居た場所までとぼとぼと戻っていく。

そこにはもう首無は居なかったけれども、

ボクは不思議と悲しくなかった。


(…随分とこんな気分にさせられてきたからね)


もう慣れっこだよ!

そう心の中で明るく呟き、

ボクは顔に小さな笑みを浮かべた。





そんなこんなで

いつも通りの生活を送っていたボクだったが、

ある日、大きな事件がボクを襲った。



 

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