08













‘貴女ともっと話したい’ 

‘貴女の事をもっと知りたい’


いつもそう思っていた。






だけど、それは

他の女の人達の手によって阻まれる。


女の人には甘いと

よく毛倡妓に言われるが、

本当にそうかもしれない。

適当にその人達に相槌をつくが、

気付いたらいつもそこには

もう貴女は居ない。


それの繰り返し。

肝心の貴女との距離は全く縮まず、

知り合いと友人の間といった様な仲のまま、

今まで過ごしてきた。





だけど、貴女の身に事件が起こった。






無所属の妖怪共に喧嘩を売られ、

そして、

大量の刀によって刺されたのだ。


奴良組に運ばれてきた貴女は

とても痛々しく、

身体は傷と血でいっぱいだった。


つららとリクオは嘆き、

そして私も嘆いた。


貴女が寝ている間、

妖怪のお姿になられたリクオ様と我々奴良組の全員で、

その無所属の妖怪共を片づけてきた。


この身に浴びるそいつらの血、

それを妖しく舐める僕。





こんなに僕を怒らせたのは、

貴女が2度目だ。

それほど貴女は僕の中で大きな存在なのだ。







愛しい、恋しい、可愛らしい、


貴女に言えてない気持ちは沢山ある。

僕は一生懸命貴女を看病した。





ある日、貴女は突然目を覚ました。

ホッとした、嬉しかった、


目覚めてくれてよかった……。


…不覚にも泣きそうになってしまった。

男なのにみっともない。


そして貴女は私を見て驚いた。

そりゃあそうだろう。

僕と貴女はあまり仲がよくないのだから。


しかし、僕が貴女の看病をする内に、

徐々にその距離が縮まってきた。


貴女はよく笑う様になった。

そして、


僕も。



しかし、仲が縮まってきたにも関わらず、

貴女は僕に嘘をつく。

私は貴女のそんな顔を見たくない。

だから、教えて?

 
           
貴女を哀しそうな顔にさせるそれは、

一体なんなの……?



 

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