我ながら厄介な性格だと思う。「連絡先、教えて。」数秒もかからないこの一文を言うのに、私は三年費やした。
「お前、今更かよ」と言ってめったに見れない笑いを拝めたから、酷く恥ずかしい思いをしたけれど帳消しだ。「そう、今更。違う高校だしね、」と言い終えたら国見は眠たげな瞳を大きくあけて、まじか、と呟いた。
「あれ、国見って青城だよね?私、烏野だもん」
「へー、知らなかったわ。お前青城の制服似合いそうなのにな」
「…何それー、セクハラ?やだなー国見ってば」
「ちげーよ馬鹿。」

たまたま一年の時同じクラスになって、たまたま席が隣同士で消しゴムを貸したりノートを見せ合ったり、ただのクラスメートという関係でしかなかった。今からでも遅くないからちゃんと好きって言えばよかったな、でも玉砕して本当に会えなくなっちゃうのも嫌だな、なんて考えて採用された手段は連絡先の交換。本当に今更だけど、今にもぷつんと切れてしまいそうな関係を保つ為には、一番の方法なはずだから。
なんて言えばいいかな、何を言っても変に思われないか不安で、次の言葉につまる。もし今漫画の1コマだったら、私は目をぐるぐる回して冷や汗だらだらに描かれていることだろう。何か言わないとせっかくの努力が水の泡になってしまう。ショートしかけの頭のまま口を開けば、案外するりと言葉が出てきた。
「春休み、遊ぼうよ」
「いいけど」
「え、まじ」
まじってなんだよ。国見は不満そうに眉間に皺を寄せながらも、口調はとげとげしくない。国見って面倒くさがりだから、断るかと思ったと返せば、そこまで薄情じゃねーよと頭を卒業証書ではたかれた。結構、痛い。
「まぁ、春休みから部活参加するから、遊べるのは休日だけだけどな」
「大丈夫、私暇人だから」
「知ってる」
「な、そこはそんなことないよって言うところでしょ…!」
「お前のことは大体分かる」
え。思わず変な声が出てしまったけれど、不意打ちは卑怯なんじゃないの。そっちは何も考えていないかもしれないけど、恋する女子に期待させるような発言をしたのなら、責任取ってもわないと。勿論言えるはずのない主張を心の中で訴えている私を余所に、国見は「変な顔。その顔、割とすき」とまたも爆弾を落としてきた。



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