CURE | ナノ
バズーカ少年

バズーカを持った少年はチラリと私を見て「旦那ァまた何かやらかしたんですかィ」とニヤリと銀時さんに向けて笑った。神楽ちゃんはその様子にムカついたのか少年に「うるさいネ!お前には関係ないアル!」と怒鳴るように言った。

「チャイナてめェは黙ってろ。とりあえず屯所の方に来て下せェ。オレが非番の日で良かったですねェ」

「いや思いっきり隊服着てますけど。絶対サボりですよね」

新八君は今にも襲いかかろうとしている神楽ちゃんを何とか押さえ込み、ツッコミを入れた。こんな時でもツッコミを忘れない彼は流石だと思う。銀時さんはゴホンと1つ咳払いをして「アー、税金泥棒の沖田総一郎君だ」と少年のことを紹介した。

「真選組の沖田総悟でさァ旦那」

沖田さんは私を見て「アンタの名前も教えて貰えますかィ?」と言ったので私も「名字名前です」と答える。沖田さんは何かを確かめるように私に近づいた。顔と顔がくっつきそうなほど近くなり、驚きと恥ずかしさが交じり顔が熱くなる。

「……ッ」

「アンタ、」

沖田さんが何かを喋ろうとした瞬間、銀時さんが私の目を手で塞ぎ、「総一郎君ー、ちょっと近いんじゃないのォ?名前びっくりしちゃうから離れて貰える?」と少しふざけながらも真剣な口調で言った。銀時さんは私の目からゆっくりと手を離し「急に悪かったな」と謝った。そんな銀時さんにぶんぶんと勢いよく頭を横に振った。

「そんな…!謝ることなんてないです」

「とりあえず屯所に向かいやす」

私が銀時さんに続けて話そうとすると今度は沖田さんが遮った。沖田さんは私の腕を掴み、ドンドン前に進む。「サド!名前を離すネ!」と後ろから神楽ちゃんの声が聞こえるが、そんなのは御構い無しで沖田さんは進んで行く。

「ほら、旦那達も早くしなせェ」

「………ったくよォ」

銀時さんは大きくため息をついて、神楽ちゃんと新八君の頭に手を乗せて「オレらも着いてくぞ」と言って2人と定春を連れて私達の後ろを歩いて行った。






定春を真選組の庭に置かせてもらい、私達は副長室に案内された。恐らく副長さんだと思われる人はタバコを手にして、「総悟、コイツが例のヤツか?」と煙を吐きながら言った。

「ちょっとちょっと、大串君。副流煙って言葉知らないの?うちの名前ちゃんがいるのにやめてくんないー?」

「ソーヨソーヨ。これだからモテない男は」

銀時さんと神楽ちゃんは鼻を塞ぎながら迷惑そうに言った。その言葉に「私は大丈夫です」と焦って訂正したが、副長さんは「いや、今回は万事屋の言う通りだ。悪かったな」と言って灰皿にタバコを押し付け火を消した。

「特徴的には合ってると思いますがねェ……ただ証拠がねェんでさァ」

「アンタ…名前つったか?オレらが言いたいこと分かるか?」

副長さんと沖田さんは私を見て言った。副長さんと沖田さんが言いたいことはなんとなく分かっている。他人の前で能力を使うということは、とても危険な行為で私達からしたら自殺行為だ。両親から「他人の前で使ってはいけないよ。名前が危険な目に合うかもしれないからね」と言われた言葉をふと思い出した。無意識に自分の体を自分で抱きしめる。その時、ぽんっと頭の上に温かい手が優しく置かれた。

「銀時さん」

「無理しなくてもいいんじゃねェの?」

銀時さんは私に優しく、赤ん坊を宥めるかのように言った。胸の内がぽかぽかと温かくなるのを感じて安心した。

「やってみます」

銀時さんに顔を向けて、安心させるように笑い、自分の手に噛み付いた。




20170406

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