逃げるぞ
入ってきたのは耳が鋭く尖っていて緑色の肌をした男と先程私を追っていた男の仲間と思われる男達だった。
「きゃあッ!」
銀時さんは私の腰を掴み片手で私を持ち上げて、自分の腰元においた。銀時さんは「ちっとばかし大人しくしててな」と言ったが、こんな体制初めてで、そもそも男の人とこんなに近くになること自体が初めてなのだから、体はカチンコチンに固まってしまう。カァと顔が赤くなるのを感じるが今はそんなことは考えている暇はないとなんとか気持ちを入れ替える。今はここから逃げることが先決だ。
「神楽!新八を頼むぜ!」
「分かってるネ!定春行くヨ!」
神楽ちゃんは定春の上に乗っかり、そのまま新八君を持ち上げた。銀時さんと神楽ちゃんはそのまま窓から飛び降りた。…って、え?
「きゃあああああ!」
「逃すな!!あの女以外は殺しても構わない!行け」
銀時さんは男達が言った言葉を聞き取ったようで「奴さん、随分と恐ろしいこと口にしてんじゃねェか」と顔を引きつらせていた。銀時さんはスクーターに乗り、私を後ろに乗せて私の頭の上にヘルメットを被せた。
「名前!飛ばすからな、しっかり掴んでろ」
「はい!」
ヘルメットを急いで締めた。銀時さんはスピードを上げ定春と並走する。新八君は「銀さん!どこに向かえばいいんですか!?」と焦りながら質問するが、神楽ちゃんが「そんなのあの夕日に向かってに決まってるアル!」とさも当たり前のように答えた。
「ちょっと今そういうギャグに答えてる暇ないから!ほら後ろ見てみろよ」
銀時さんに言われ後ろを見てみると先程の男達が大きな車に乗って後を追いかけていた。しかもその車は改造車だったようで、ガシャンと音を立てて、車の頭の部分はバズーカに変化した。
「カッケー!!銀ちゃんアレ欲しいアル!」
「オィィィィ!そんなこと言ってる場合じゃないから!!」
新八君が神楽ちゃんの言葉にすぐさまツッコんだ。そうこうしてる間にバズーカの銃口は光り始めて、ドンッと撃たれた。思わず前にいる銀時さんの腰を力強く掴んだ。
「ギャアアアアア!!」
銀時は叫びながらなんとか躱した。バズーカが撃たれた場所は大きな穴が空いていて、私達はタラタラと冷や汗を流した。すぐに銀時さんはスピードを上げる。
「あの人たち私のことも殺そうとしてる!!絶対に!」
「とりあえず…名前!」
「きゃっ!」
銀時さんは私の襟首を掴んで運転席に座る銀時さんの膝の上に乗せる。え?と思う間も無く、銀時さんが「嫌だろうけどしばらく我慢しろよ」と言った。全然嫌じゃないです。寧ろうれしいですなんてことは言えないので「大丈夫です!」と返した。そうこうしてる間にもどんどんバズーカは撃たれる。銀時さんは私を庇うように背中を丸くして、私の頭を手で下げた。
「銀時さん!」
「大丈夫だからじっとしてろ」
神楽ちゃんや新八君のところにもバズーカは飛んでくる。よく見れば飛んできた破片で、銀時さんは頬を切っていた。神楽ちゃんや新八君もよく見れば怪我をしているだろう。どうしてこの人達は他人を無条件で守ることができるのだろうか。それも命をかけてだ。頭の中でぐるぐると考えていると、後ろからバーンと音がした。後ろを見ると私達を追っていた車が炎上していた。
「旦那ァ、こっちです」
声のした方をみるとバズーカを持っている少年がいた。
20170402
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