万事屋3人組
"万事屋銀ちゃん"と書かれた看板の店の中に入る。銀時さんが「オーイ、愛しの銀さんが帰ったぞ」と言うと奥からメガネをかけた男の子と肌が白くてチャイナ服を着た女の子が出てきた。
「銀さん、ジャンプ捨てるのにどんだけ時間かかってるんですか………って、お客さんですか?」
「銀ちゃん、私の酢昆布買ってきてくれたアルか?」
銀時さんは2人の頭をぽんぽんと撫でながら「新八茶ァ頼むわ。お前の酢昆布買うくらいだったら来週のジャンプのために金貯めとくねオレは」と言って中に入って行く。私はどうすればいいんだろうと困っていると、銀時さんがちらりとこちらを見て「名前も早く来い」と言ってくれた。
「お邪魔します…」
中に入ると、まず私を出迎えたのが大きな白い犬だった。「ワン!」と元気よく吠える。すっごく可愛いと思い、犬に向かって手を伸ばした。
「神楽ァァァ!定春止めろォォォ!」
「定春ゥゥゥ!お客さんヨ!食べちゃ駄目ヨ!」
2人は物凄い勢いでこちらに向かってくる。どうして2人はそんなに慌てているんだろうと疑問に思っていると、定春は私に顔を近づけて、私の頬をペロリと舐めた。
「ふふ、定春。くすぐったいよ」
私が定春の頭を撫でていると、銀時さんが「……絵になるな」とぼそりと呟いた。
「銀ちゃんそれどういう意味ネ。私だと絵にならないっていうことアルか?!」
神楽と呼ばれた女の子は銀時さんを思いっきり蹴飛ばし、銀時さんは吹き飛んだ。女の子なのに凄い力だ…と感心していると、新八と呼ばれた男の子が「お茶を淹れたので、良ければどうぞ」と中に案内してくれた。
「あの…えっと…神楽さん…?はとっても力が強いんですね」
「神楽でいいネ。私は天人ヨ」
神楽さんこと神楽ちゃんはにこにこと笑いながら言って、ソファに座った。天人…その言葉にドキンと心臓が音をたてた。その時、銀時さんが頭から血を流しながら「コイツは最強戦闘民族の夜兎なんだよ」と言ってソファに座った。新八と呼ばれた男の子もソファに座り「僕は志村新八です」と笑って挨拶をしてくれた。
「私は名字名前です。……私も天人です」
3人は相当驚いたようで目を丸くさせていた。でも直ぐに神楽ちゃんが「仲間ネ!私と一緒ヨ名前」と言って抱きつく。私はわっと小さく悲鳴をあげてしまったが私に抱きついてきた神楽ちゃんはとても可愛かった。
「あ、あの…私は正確には天人と地球人のハーフなんですが…」
「今は天人と地球人同士の結婚まであるんですね」と新八君は感心したように言った。「私の父と母はかなり早い国際結婚だったと思います」と苦笑いしながら答えた。
「名前が天人の血が入ってるってことは分かったけどよォ。なんであいつらに追われてたんだ?」
「私は天人の母の能力を受け継いだみたいで、少し特異体質なんです」
「特異体質…?」
銀時さんがもっと聞かせろというように体を前にだす。神楽ちゃんは「名前、もしかして優療族アルか?」と私を見つめて言った。私は小さく頷く。
「その…優療族って…?」
「治癒力が特化した天人のことです」
新八君の疑問に私が答えた。「優療族は薄い青い目が特徴ヨ。だから名前見た時にもしかしたらって思ったネ」ギュッと私をもっと強く抱きしめながら神楽ちゃんは言った。
「まァ…差し詰め、名前の能力を狙ってるってことか?」
「そんな感じです」
神楽ちゃんは私を抱きしめながら「名前…色々大変だったネ」と悲しそうに言った。神楽ちゃんは優療族がどうなったのか、天人と地球人のハーフがどんな扱いを受けるのか恐らく知っているのだろう。そんな神楽ちゃんを安心させるように「大丈夫だよ」と言って頭を撫でた。銀時さんと新八君も私と神楽ちゃんの雰囲気を感じ取り、なんとなく察したようだった。
その時ピンポーンと呼び出し音が鳴った。「僕が見てきますね」と新八君が立ち上がり扉の方に向かった。何か嫌な予感がする。私の背中をツーと冷や汗が流れた。
「待て新八!」
銀時さんが新八君を止めようとしたが、新八君が開ける前に万事屋の扉は吹き飛び、その衝撃で新八君も吹き飛んだ。
「名前を返して貰おうか」
20170401
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