ゴトンッ、とグレーの扉の奥から、物音がする。

 柔い橙色の照明に照らされた美しい内廊下には幸い誰も居らず、その音を拾われ不審がられる事はなかった。



 太一と亮がざわめく学校から逃げるよう、笑いながら駆け出してから数分後。
 本当に近くだったのか、まるで高級ホテルかと見間違うマンションの一室に連れ込まれた太一は桜の木の時と同じよう扉に背を預け、亮に抱き抱えられたままの体勢で口付けあっていた。


「んっ、ふぁ、ん、」
「たい、ち、」

 玄関先で縺れ合う二人はお互い興奮した状態で息を乱しながら、もっと。と貪るよう互いの体をきつく抱き締めあう。
 太一の開いた唇の隙間に舌を捩じ込み、くちゅ。と舌を絡ませ、太一の全てが甘い。とくらくらしてしまいそうな衝動にハッと息を吐く亮。
 その吐息ですら感じるのか太一の背がびくびくと震え、それでも、足りない。とばかりに亮の背を抱く腕に力を込めたのが分かった。


 ちゅ、ちゅく、と舌が絡まる音が広々とした玄関先にしっとりと落ちていく。

 先ほど龍之介やら亘やらのせいで一度は落ち着いたものの、部屋に連れ込みキスをしてからはまた窮屈そうにズボンを押し上げている自身の陰茎を亮が膝の上に抱えるよう抱き上げている太一の尻にごりごりと擦り合わせれば、んあっ、と堪らず声を漏らし顎をあげた太一。
 そのせいで唇が離れてしまい、名残惜しげに亮が太一を見たが、たらりと銀色の糸を口の端から溢してはぎゅっと目を瞑り、ひくひく震えている表情が何とも言えぬほど扇情的で、ごくりと唾を飲み込んだ。


「っぁ、あぁっ、」

 ぐりぐりっと亮にまたも腰を押し付けられれば逃げ場のない体をそれでも反らし、太一が疼く熱に息を散らす。
 もう既に下着のなかは一度吐精したせいでぐちゃぐちゃで、そこにまたしても高まった快感のせいで呆気なく芯を熱くさせる陰茎とひくつく蕾からたらりと垂れてくる愛液がぐっしょりと下着を通り越してズボンに染みを作っている。
 しかしその気持ち悪いはずの冷たさすらも快感だと捉える脳が、太一の理性を根こそぎ奪っていった。


「りょ、りょうっ、……」

 とろん、と瞳を蕩けさせ、はぁ、と甘い息を溢しながら亮の名を呼ぶ太一の姿に、

「……可愛い。可愛い太一、大好き」

 なんて感極まったよう呟きながら亮が太一の首に顔を埋める。
 そして甘い匂いに誘われるがまま、ひたり、と舌を這わせれば、またしても太一がか細い声をあげた。


 ぶわり。淵から呼び起こされた快楽が花開く音が耳元で聞こえ、蛞蝓が伝うような感覚に太一の息が震えては淫らに頑丈な扉へと吸い込まれてゆく。

「あっ、く、くび、かんで……」

 そうビリビリと痺れる快楽に声帯を震わせ、首を噛んでと甘く呟いた太一。
 そんな太一の濡れた声にごくりと唾を飲み込んだ亮は耳元に唇を寄せ、

「噛まれるの、……好きになっちゃった?」

 なんて囁く。
 その亮の掠れた甘い声が響き、悪寒にも似た電流が太一の脊髄を撓わせた。


「……ぁっ……」
「俺も太一のこといっぱい舐めて、いっぱい噛みたい」

 そう真っ直ぐぶつけられる求愛に、ひくりと太一の腰が震える。

「太一……」

 色を隠さずに呟かれる自分の名に必死に亮にしがみつくよう、ぎゅうぅ、と抱きつく腕に力を込めれば、またしてもズボンを押し上げ主張している怒張を尻へと擦り寄せた亮。

「ひっ……」

 悲鳴のような声が思わず漏れ、その焼けるような熱さに太一の奥が疼く。
 一度だって性行為などしたことがないというのに、亮のその熱を喰わえ込みたいと主張するかのように蕾がひくつくのを浅ましく感じて、じわりじわりと迫る欲に太一は熱い息を吐いた。


 宣言通り全て欲しいのだと言わんばかりに亮の赤く熟れた舌先が太一の耳朶をなぞってゆく。
 蛇のように纏わりつきぬめる舌先の感触に震えていた太一だったが、耳の中までもをぐぷぷっと何度も尖らせた舌先で抜き差しされてしまえば、まるでセックスの疑似体験のように湧く快楽に、生理的な涙をぽろりと一粒落とした。

「あっ、ぁ……ん、」

 ……ぴちゃ、と耳奥でこだまする水音。
 ぞくぞくと這いあがってくる快感にハッと熱い息を乱しながら、それも気持ち良いけれど。と目を潤ませた太一は、はやく、はやく。と急く衝動に息を詰め、亮が歯を立ててくれるのを待つ。

 そんな期待に応えるよう、白く美しい亮の歯が太一のうなじをガリッと食めば、太一は初めて噛まれた時と同じよう、あぁぁっ、と悲鳴のような声をあげた。

 目の前がストロボに揺れ、チカチカとする。
 体は傷付くが、心がとても満たされてゆく心地良さにびくびくっと身を震わせる太一をぎゅっと抱きしめては、亮がまたも歯を立てた。

 先程から漂う、理性を焼ききるような太一の甘い匂いに、優しくしたいのに。と思いながらも亮はそれでも血が滲んでしまいそうなほど強く、太一の薄い皮膚に色濃く歯形を付けてゆく。
 そんな亮にずっと喘ぎ声を溢しながら、太一は気持ち良い、気持ち良い。と無意識に腰をゆさゆさと揺すっては自身の割れ目に亮の怒張を擦り付けた。

「っ、た、いち、」
「あっ、やめ、んな、もっとかめってぇ、」

 そう甘くねだり、ぎゅう、と亮にしがみつく太一。
 知らなければ平気だったのにもう知ってしまった。と離れがたさに喉元を狭め、太一が、りょう、りょう。と泣くような声色で亮の名を呼ぶ。


「……りょ、も、ほしい。おく、さびしい」

 浅ましさに顔を赤くしながらそう小さく太一が呟けば、息を飲んだ亮。
 それから太一の体を膝に乗せるよう固定し、太一を見つめた。

 ……劣情、愛しさ、独占欲。

 それらが混ざり織り重なった瞳で見つめられ、太一の喉がひくりと震える。
 そしてヒュッと息を飲んだその時、

「しっかりしがみついてて」

 と呟いた亮が太一の学生ズボンのベルトに、手を掛けた。

 カチャカチャ。とバックルが鳴る音が広い玄関のタイルに落ち、反響していく。
 しゅるりとベルトを穴から抜き取り、ジーッ……。とジッパーを下げた亮の長い指を見てはごくりと唾を飲んだ太一は、……腰、浮かせて? と囁いてきた亮の声にすらビクンッと身を震わせつつも、言われた通りに力を入れ、腰を浮かせる。
 そうすれば、いい子。と言わんばかりにちゅっと頬にキスをした亮がそれでも容赦なく下着と共にズボンをずり下げた。

「……かわいい」

 ぷるん、と揺れ晒された太一の勃ちあがった陰茎を見ては、うっとりと呟いた亮。
 その声に恥ずかしげに身を捩ろうとした太一だったが、しかし抱き抱えられた体勢のまま亮の腰に足を回しているせいで太股で絡み止まったズボンが邪魔をし、ただ身を揺らしただけになってしまった。


 先程吐き出した精液やら何やらでもうぐっしょりと濡れそぼっているパンツが太股に張り付く冷たさや、不意に玄関の扉から漏れる外気に、ふるりと体を震わせた太一。
 太一の陰茎やお尻の辺りはもうぬらぬらと濡れ光り、粘る糸を引いてはたらりと床に銀色の糸を垂らしていく。
 そんな、ポタ、と床に落ちた滴をじっと見ている亮に、

「……み、みんなぁ……」

 と、淫乱だと思われていると恥ずかしげに唇を噛んだ太一だったが、その一文字に結ばれた唇に触れるだけのキスをしては、

「……太一も俺で興奮してくれてると思ったらすごく嬉しくて……。それにすっごいえっちで興奮する」

 なんて囁き、微笑む亮。
 その柔らかな瞳がとても甘くて、またしても後ろをキュンと疼かせた太一に、……ごめんね。なんて亮が突然謝った。

「ほんとはもっとゆっくり、いっぱい触って優しくしたかったけど、無理」

 太一にいれたくて、たまんない。

 そう耳元でぞくっとするほど性的な声で囁かれ、太一がぞわぞわとする痺れにひくんと肢体を震わせる。
 そんな太一の目尻にちゅっと口付けたあと、自分の長い指を食わえ湿らしている亮がやけに艶っぽく雄臭く見えて、太一は女ではあるまいのに。と思いながらもまたしても奥が疼いてしまい、はやく、はやく。と浅ましく思った。

 けれど亮の綺麗な形をした唇を見ていればじわりと口のなかに唾液が増し、

「亮、指、俺が舐めたい……」

 と思わず呟けば亮が少しだけ目を見開いた後、

「あんま可愛いことばっか言わないで」

 なんて言いながらも、くちゅり。と自身の口の中から指を引き抜き、……あーんして。と見つめてくる。
 それに太一が胸をときめかせたまま小さく口を開け、赤い舌を少しだけひらつかせながら素直に従えば忍び込んできた指に舌を掴まれた。


「んんぅっ、んぐっ、ふ、んむっ……」

 くぐもり漏れる声。
 指先で唾液を絡め取りぐちぐちと動かされてしまい、その音が頭の中で響いているようで震えるような背徳感と滲む快楽と共に敏感な上顎を腹で撫でられれば、呆気なく撓む太一の背筋。
 しかし、んっんっ、と短い声を出しながらも懸命に太一が指に舌を這わせていれば、

「……ずっと見てたいけど、」

 なんてぼそっと呟いた亮によってずるりと指を抜かれ、自分の唾液でぬらぬらと光るその指を太一は名残惜しげに見つめた。

 もう少しだけ舐めていたかった。

 そう批難めいた目で見つめたが、

「次はこっちに触りたい」

 なんて言葉と共に、臀の割れ目に這わされる指。
 それにきゅんと震えた胸のまま、あ……、とゆっくり熱く息を吐いていれば、

「痛かったらちゃんと言ってね」

 と囁かれ、うなじにちゅっと優しくキスをしてきた亮の唇の感触に、太一が、んっ。と声を漏らす。
 そんな太一に薄く微笑み、ごめんね、こっちの腕だけでしか支えられないから、しっかりしがみついてて。なんて言いながらそろりと指を伸ばし、縁を撫でては二人分の唾液で濡れそぼった指をゆっくりと慎重に太一の蕾へと挿入させてゆく亮。

 もう先ほどからポタポタと床に落ちていってしまうほど溢れ垂れている愛液のお陰で、ぐぷっ、とほぼ何の抵抗も見せずに飲み込んでゆく肉壁は焼けるように熱く、亮の指を奥へ奥へと誘い込む。
 一本を難なく飲み込んだのを見て、……まじでこの体勢勿体ないな。ベッドくらい置いとけば良かった……。と見えない太一の蕾の様子に亮が後悔しながら、ゆっくり、ゆっくり指を動かしていった。


「ふぁぁ、あっ、」

 ビクンッと体を震わせ、自分で惨めな気持ちになりながら慰めていた時とはまるっきり違う感触に、太一が喉をひきつらせる。
 全身に電流めいた快楽が満ち目の前がチカチカと瞬いていく感覚に、これ、やばい。と太一がもう達してしまいそうになっているなか、そんな太一の甘い声に大丈夫だと察したのか二本目を突き入れ、中を解そうと少しだけ指の間隔を広げては、ゆるゆると中を穿つ亮。


「はっ、あ、んっんっ、あっ、」

 亮の長い指が中で蠢くたびにはしたない声があがり、くぅん、と犬のような鳴き声を散らしながら太一が亮の肩に額をぐりぐりと押し付ける。

 気持ちいい、気持ちいい、足りない、もっと。

 そう尚も浅ましく火照る体と目の前の首筋から香る亮の匂いにくらくらと目を眩ませる太一に、

「太一のなか、きゅうって俺の指締め付けてくる。すっごい可愛い……。気持ちいい?」

 なんて囁いた亮は、はぁはぁと息を乱し羞恥に震えまるで生娘のような恥じらいを見せつつこくこくと頷く太一に、どうしようもなく湧く愛しさのまま愛撫もそこそこに指を中から引き抜いた。


「はっ、あ、んっ、」

 ずるり、と抜ける感覚に背を丸め亮の肩に顔を押し付けながら喘ぐ太一が、ひくひくと震える。
 その加護欲を擽る姿に、ごめんね。と呟いた亮はしかし自身のベルトへと手を伸ばした。

 カチャカチャと忙しなく鳴るバックルの音の後、ジーッとジッパーが下ろされた音が玄関に静かに響き、何もされていないというのに、熱くて硬いその熱が欲しい。と太一の可愛らしい小さな双臀の割れ目から透明な滴が溢れては、糸を引いてぽたぽたと床を濡らしてゆく。

 それからボクサーパンツを亮がずり下ろした瞬間、窮屈そうに収まっていた陰茎が解放されたとばかりに飛び出ては、バチンッと太一の尻に当たった。

「ひうっ、」

 想像していたものよりも熱く、硬く、凶暴なまでに勃起している亮の陰茎の感触に太一が息を飲み、……こ、これが、俺のなかに。と不安や期待に胸をときめかせたが、しかし亮はゴソゴソと自身のブレザーの内ポケットに手を入れたかと思うと、

「……こうなったら良いなって、実は期待して持ってきてたんだよね」

 なんて小さく照れ臭そうに笑い、さきほど薬局で買ったばかりのコンドームを取り出した。

 箱はかさばるからなのか中身だけをポケットに入れていたらしく、束になったコンドームを一個ちぎり、残りはポイッと床に放った亮。
 バラバラ、と音を立て落ちたそれを見て太一は、そ、そういえば買ってたなこいつ。と少しだけ理性を取り戻したが、尻に当たる熱い亮の陰茎の感触にまたしても、きゅん、と奥を疼かせ、

「……それ、いらねぇ、」

 と呟いた。



「……え?」
「……そんまま、いれろ……」
「た、たいち?」

 突然の太一の言葉に目を見開き、……それどういう意味か分かって言ってる? と顔を赤らめた亮が困ったような表情で太一を見つめ、そんな亮に太一は気恥ずかしさから視線をそらし、それでも、こくん、と頷いた。

「……まだ、発情期じゃねぇし、それじゃなくても俺、妊娠しにくい、から……」

 オメガ男性は発情期にアルファとセックスをした時に最も妊娠しやすく、むしろその時以外であれば妊娠する可能性は低いとされていて、だからこそ太一は、

「……おれ、お前との子ども欲しいって言ったじゃん」

 と少しだけ唇を尖らせ、だから薬局でコンドーム買った事、少しだけ寂しかった。なんてどことなく拗ねた様子で亮を見る。

 そんな太一に数秒黙ったあと……ンンッ!! と声を詰まらせ、

「……か、かわいすぎる。なにそれ、かわいすぎるんだけど。いっそ大罪でしょこれもう!」

 なんて太一の背骨が軋むほどぎゅうぅぅ、と強く抱き締めた亮が、可愛い。可愛い。と喚いては、

「でも、だめ」

 と太一の可愛すぎるおねだりに血の涙を心のなかで流しながらも、呟いた。


「俺だって太一との子どもめちゃくちゃ欲しいよ。太一に俺の子ども産んで欲しいし、それに発情期以外だったら妊娠しにくいってのも知ってる。だからほんとは俺だって今すぐ太一の中に俺の精子いっぱい出して、太一の体の中まで、俺でいっぱいにしたい」

 亮の吐息が耳元で揺れ、いっぱいにしたい。という言葉にまたしても太一の奥が疼く。

「っ、ぁ、……な、なら、」

 そうふるりと震えながら太一が呟いたが、

「でも、太一大学行きたいんでしょ? それに、俺だってまだちゃんと自立できてないガキだからさ。ちゃんと大学卒業して、俺が社会人になって、太一も大学に入ってちゃんと卒業するまでは、無責任な事したくない」

 なんて本当に残念そうに、だがしっかりと決意が滲む瞳で見つめられ、太一は息を飲んだ。

「だからね、今は我慢する。……全部その条件クリアしたら、その時は太一がもうやだって言っても止めないくらい、いっぱい中出しするから、覚悟してて」

 かぷ、と耳朶を甘噛みしながら亮が囁き、その刺激にビクッと震えた太一だったが、そこまで言われたらもうなにも言い返せねぇじゃんか。としっかり自分との未来を考えてくれている亮にじんわりと胸を温かくさせ、しかし少しだけ癪で、亮の顔を見ては綺麗な鼻をかぷっと噛み返した。

「……じゃあ俺も、それまで我慢してやる」

 そう少しだけ眉間に皺を寄せ、照れ臭そうにしながらも薄く笑った太一。
 その可愛さに亮がまたしてもングッ! と喉を詰まらせ悶えていれば、ぎゅっと抱きついている腕に力を込め、

「……それ、早く着けろ」

 なんてボソッと呟き、りあえず早く続きをしてくれ。と言外に示す太一に亮は鼻血すら出てしまいそうで、太一が想像よりずっとえっちで可愛くて尊すぎる……!! と天を仰いだ。


「……まじ、ほんと、それっ……、」
「は? なにぶつぶつ言ってんの?」

 そう太一がふるふると震えどうしようもない愛しさと可愛さに悶えている亮を訝しげに見つめる。
 その顔に、太一のせいでしょ! と亮が少しだけ怒りながらも、手に持っていたコンドームを咥えた。

 歯で挟みながらビリッと片手で袋を破き、フーッと荒い息を吐いた亮。
 見つめてくる瞳はギラギラと欲で濡れていて、亮の格好良い性的な仕草とその瞳に太一がまたしても息を飲む。
 少しだけ戻ってきていた理性はあっという間に四散し、……はぁ。と熱い息を吐いた太一は、亮が器用に片手で自身の怒張した陰茎にコンドームを着けていく気配を感じながら、期待で口のなかを湿らせた。

 はやく、はやく。

 蕩けだした脳はそれだけしか考えられず、ぎゅっと亮の首に回している腕に力を込めた太一の胸は甘く痛み、ひたりとあてがわれた熱さに小さく喘ぎ声を溢す。

「たいち、いれる、ね……」

 そう囁き、太一の髪の毛にちゅっとキスをした亮が、ぐぐぐっと腰を突き動かしていく。

 途端割り開かされてゆく感覚と、杭を打たれるかのような鈍痛が体を占領し、メリメリッと自身の体内で音が鳴り響くような気がした太一は目を見開いた。

「は、あっ、あぁぁっ、」

 漏れる声は悲鳴じみ、まともに吸えない息。
 そんな圧迫感に口をはくはくと開けたまま、太一は亮の肩に額を乗せ、ぎゅっと目を閉じた。

 痛いのか、苦しいのか、熱いのか良く分からない感覚が自身を占領し、ひぅ、と声を漏らし続ける太一の背を抱きすくめた亮は、苦しいよね、ごめん。とあやすよう何度も囁き、それでも腰を止めることなく、挿入していく。

 全身をびくびくと震わせ、それでも太一の中は奥へ奥へと誘うかのように肉壁が蠢き、その持っていかれそうな気持ち良さに亮は荒く息を吐いて意識をなんとか繋ぎ止めた。

「た、いち、大丈夫……?」
「はっ、あ、わか、んね……」

 目の前に火花が散り、初めての感覚にぐらぐらと脳が揺れる。
 けれども痛みとも苦しさとも違う快感が奥底で沸き上がるのを感じ、セックスなんて初めてで、しかもさきほど見た亮の驚くほど太く長い凶暴なまでの陰茎ですらも飲み込んでは快楽すら感じ始めている自分に、太一はガチガチと歯を鳴らした。


「は、あ、……こわ、こわい、なにこれ、しら、ね、あっ、ぁ、」

 もう既に痛みはなく、中にいる亮に吸い付いてはきゅんきゅんと甘い疼きをもたらす自身の体に太一がぽろっと涙を溢しては、こわい。とおののいたが、そんな太一に亮は気持ち良さに息を乱しつつも、大丈夫、大丈夫だから。と囁き、何度も何度も太一の髪の毛や晒された細いうなじに口付けた。

 亮のその優しい口付けに太一の気持ちがふっと軽くなり、すん、と鼻を鳴らせば香る亮の匂いに、安堵が混ざった甘い吐息を溢す。
 少し心が落ち着いた事でまざまざと自身のなかに亮がはいっているという事実を意識してしまい、だがもう、怖いとは思わなかった。


「……りょ、のが、俺ん中に、」
「……うん、太一のなか、すっごく熱くて、気持ち良い……」
「ふぁっ、」

 耳元で熱っぽく囁かれ、太一がチカチカと瞬く気持ち良さにぎゅうぅ、と亮にしがみつく。
 それと同時に中が収縮し亮の陰茎を締め付け、その硬さと熱さにヒュッと喉を鳴らした太一は、触れてもいないというのに自身の陰茎から精液をこぷっ、と吐き出してしまった。

「ひっ、あ、あ、あぁぁぁ、」

 じわじわと灯る気持ち良さに思わず精液を吐き出した太一が震えながら喘ぎ声を漏らし、亮もまた、蠢く肉壁の気持ち良さにくぐもった声をあげ、びくびくっと腰を震わせる。

「ちょ、ま、やば、でるっ……」
「ひ、あ、」

 お互いびくんびくんっと体を跳ねさせ、太一は目を見開き、亮はなんとか堪えようと努力したが初めて太一の中にはいれた喜びと気持ち良さ、そして太一のくらくらとしてしまいそうな甘い匂いに堪えきれず、いれただけで一度も腰を揺すってすらいないというのに、コンドーム越しに精液を吐き出してしまった。

「あ、あ、あぁ、」
「っく、」

 亮の切羽詰まった声が耳元で揺れ、そしてコンドーム越しだというのにどくどくと吐き出される精液の感触を感じ取った太一がきゅんきゅんと蕾をときめかせ、き、きもちぃ……、と目を瞑る。
 もう頭の中は蕩けどろどろで、気持ち良さしか追えない脳がずっとびりびりと電流めいた快楽を垂れ流し、はっと息を吐いたがそれでもまだ亮の射精は止まらず、こ、これがアルファの……、と太一はぎゅう、と腰に足を回し、抱きついた。



「……まって、まじでおれださすぎる……」

 なんて一擦りすらせず果てた自分に、恥ずかしい。と顔を真っ赤にさせながら亮がぐりぐりと太一の肩に顔を押し付け、ほんとにださい。と呟く。
 その間もやはりまだ精液は、びゅく、びゅく、出続けていて、それに合わせてひくひくと体を震わせる太一の蕾は亮の陰茎を咥え込みきつきつに広がっていたが、気持ち良いと涎を垂らすよう愛液がぽた、ぽた、と玄関のタイルに落ちていった。

「ぁ、まだ、で、てる……」
「……ん、俺も、こんなに出るの初めてだから自分でもびっくりしてる……」
「……んっ、ん、きもち、いい……」

 ぽつり。快楽に微睡むようそう呟きながら、亮の肩にすりっと顔を寄せ甘えるような仕草をした太一。
 そんな態度にまたしても呆気なく性欲は沸くわけで、亮は、挽回させて。と言わんばかりに自身の着ていたブレザーを脱ぎ廊下に投げては、

「……もっかい、今度はちゃんとセックスしよ?」

 なんておねだりするよう太一の顔を覗き込み、ごめんね。ほんとにベッドぐらい置いとけば良かった。と眉を下げながらもくるりと体の向きを変え、そのまま床に放ったブレザー目掛けて太一を優しく押し倒した。

「背中、痛かったらごめん」

 突然体位を変えられ、視界がぐるっと変わり天井を背に見下ろしてくる亮。
 それに目を丸くしたのも束の間、繋がった部分が擦れ堪らず喘ぎ声を散らしてしまった太一は、せめて少しでも痛くないように。とわざわざブレザーの上に自分を押し倒したのだと分かって、きゅん、と胸をときめかせた。

「へ、いき、だから……」

 もっと、くっついて。

 ぽつりと呟き、先ほどまで隙間がないほど抱きすくめられていたから寂しい。と太一は腕を広げ、ぎゅってして。と亮を見上げる。
 その太一の噎せ返るような色気に、汗で張り付いた黒髪の妖艶さに、ごくりと亮が唾を飲む。
 そしてもうそのまま腰を揺すってしまいたかったが先ほど出したせいでコンドームを取り替えなくてはならず、亮は名残惜しげに上体を起こし、それでも、ちょっとだけ待ってて。と頬に一度キスをしてから、ずる、と自身を引き抜いた。

「ふ、あ、ぁ……」

 ずるる、と抜ける感覚に太一がひくっと体を揺らし、靴下を履いたまま足の爪先を震わせる。

 そんな太一の足の間に自身の体を潜り込ませている亮は、未だ学生ズボンと下着を膝下辺りで履いたまま窮屈そうに足を開き快感にひくんと震えている太一の姿が可愛らしくて、けれど、それもいいけど。と学生ズボンと下着を一気にずり下ろしポイッとその辺に放り投げ、それから太一の蕾を凝視した。

 使用済みコンドームを纏ったまま、それでも未だガチガチに勃起している自身がぬるる……と太一の蕾から出てきては、完全に抜ける。
 そうすれば愛液でぬとぬとに縁を濡らし、ひくん、ひくんと切なげに口を開けては中の肉壁をちらつかせ収縮する蕾が丸見えで、その卑猥すぎる光景に亮はまたしてもごくりと唾を飲み込んだ。


「たいち、すっごいえっちになってる……」

 堪らずそうぼそりと呟いた亮に、はぁはぁと息を乱して抜ける感覚に目を瞑りとろんとしていた太一が慌ててばっと下半身に手を伸ばし隠しては、

「っ、おま、なに、みて!」

 と恥ずかしさに声を詰まらせたが、亮はそんなささやかな抵抗すらも奪うよう、ぐいっと太一の両足を抱えては膕に手をもぐりこませ、そのまま足を頭の方に持っていき恥部が持ち上がるような体勢を取らせた。

「ふぁ、な、や、」

 突然体を折り畳むような体勢にさせられ、そして更に亮に恥ずかしい所を丸々晒しているという事態に太一が顔を真っ赤にし、や、やめろ、と抗議をしてみたが、

「太一のここ、すっごく可愛くて綺麗で、やらしい」

 なんてまるで太一の制止の声すら聞こえていないように見惚れている亮。

 そんな亮の様子に、そして正しくまんぐり返しのような姿勢をさせられた太一が、あ、う……と恥ずかしさに声を溢しては、自分ですら見たことのない場所を見られている。と羞恥に体を震わせた。

 しかし体は正直で、さきほどまで亮のを咥え込んでいた蕾はまだ足りないと物欲しげに収縮を繰り返し、とろり、と愛液を溢れさせていて、綺麗で可愛らしいピンク色のその蕾と中の肉壁の赤さに亮は顔を屈め、吸い寄せられるようその蕾にちゅっとキスをした。


「っ、んああっ!?」

 ビクビクッと盛大に肢体を震わせ、目を見開いた太一。

 ぴちゃり、と亮の舌が蕾に這わされたのが分かり、じんわりと温かく湿ったそのぬくもりに縁を優しくねぶられ、太一は顎をあげ強すぎる快楽にひっと声を漏らした。


「ひゃ、う、あ、あっ、あっ、やっ、」

 舌先が動く度に断続的な嬌声が太一の口から零れ、や、やめ、と亮の頭を引き剥がそうと試みるも抵抗虚しく、じゅ、じゅ、と愛液を吸われ舐められれば、ただくしゃりと髪の毛を乱しただけになってしまった。

 ぴちゃ、くちゅ。と部屋に響く、水音。

 舐めれば舐めるほどとろとろと溢れだす愛液が甘くて、今まで女の子にだってこんな事をしたこともなければしたいと思った事すらなかったのに、太一のだったらいくらでも舐めてられる。だなんて亮はうっとりと目を伏せた。

 耳に響くのは太一の甘い声。
 それに、最高。と胸をときめかせたままぺろぺろと縁を舐め、尖らせた舌先で蕾をつつき、くちゅり、と埋め込んではぐぷっと中の熱さを堪能していく亮。
 その度に太一は痺れるような気持ち良さに喘ぎ声をあげ、じわりと視界を涙で滲ませた。


「あっ、あっ、あん、あっ、」

 自分の口から出てくる声がまるで女みたいで、それでも気持ち良さに口が塞がらず、またしても達してしまいそうになった太一はひんひんと泣きながら、

「や、あ、あん、やだ、りょう、やだ、も、いれてほしい」

 とさきほど奥の奥まで咥え込んだ亮の陰茎の気持ち良さが恋しい。と、舌では届かないお腹の奥がきゅんきゅんと疼くまま、頭を振った。

 そうすればぴたっと舐めるのをやめ顔をあげた亮の、ずる、と抜けた舌先と蕾が銀色の糸で繋がり、それでもまるで獣のような猛った瞳で、亮が太一を見た。

 は、あ、ぁ、と未だ余韻にひくひくと身を震わせた太一がその瞳にですら、ん、と声を漏らし、それでもと亮に腕を伸ばす。

 体を折り曲げられ、屈辱的な丸見えの体勢にさせられ、さんざん好き勝手舐め回され、それでももっとお前と深く繋がりたい。と涙ながらに、

「……おねが、も、いっかい、おまえの、いれて……」

 だなんて哀願した太一に亮が息を飲み、その可愛さと卑猥さにぐわんと頭を殴られたかのような衝撃を感じつつ、太一の足から手を離しては未だ自身にぶら下がっていたコンドームを引っ張り放り投げ、床に散らばっている新たなコンドームを掴み、思いっきりビリッと袋を破いた。

 それから性急な手つきでまたしてもコンドームを着けた亮が太一の腕を掴み、

「かわいい、だいすき、あいしてる」

 だなんてそれだけしか言えなくなったのかと言いたくなるほど拙く、しかし切羽詰まったよう愛を伝え、ぐぐぐっと太一の蕾に自身の猛った怒張を押し付け、ぎゅっと太一を抱きすくめた。


「は、あ、あぁぁっ、」

 またしても圧迫感に息を乱しつつ、ぎゅうぎゅうと抱き締められる安心感と体のなかに入り込んでくる亮の陰茎の熱さに、気持ち良い、気持ち良い。と脳がばかになったかのように溶け、幸福感に満たされていく太一。

「っ、はっ、あつ、い……」
「あっ、ぁっ、」

 ぐぐぐ、と中を割り裂き開かせ、太一の奥の奥をゴンッと穿ちながら全部収めた亮が、ハッと息を吐く。
 そして太一もまた、ぞくぞくと全身を戦慄かせ、目を見開いた。

「……は、ぁ、お、おく、おくまで、きて、る」

 ストロボのように目の前がチカチカと瞬き、先程よりも深く繋がっている気がして太一が息も絶え絶えに呟けば、

「っ、ん、さっきは、半分くらいしか、いれなかった、んだけどっ、」

 と蠢き吸い付いてくる太一の肉壁の気持ち良さに言葉を詰まらせながらも亮がそう返し、ぎゅっと太一を抱き締めては、でも全部俺を受け止めてほしくて。だなんて囁く。
 その言葉にヒクンッと肢体を跳ねさせた太一は、それでも、

「ん、うれ、しい、もっと、ぜんぶ、おまえのほしい……あっ、おれを、おまえのに、して」

 なんて瞳をうっとりと弛ませて、すき、と全身で亮に訴えてくるばかりで、そんな太一の可愛すぎる姿に亮はまたしてもぎゅう、と太一を抱き締めては、腰を深くまで押し付けた。


 ぐちゅん、と響く卑猥な音。
 小刻みに、だがしかし的確な腰つきで悦い所を探すよう動いてくる亮に、はしたない声を漏らすしか太一には術はなく。次第に早さと深さを増してゆくリズムに、ただただ翻弄されるだけ。

「あっあっあっ、」

 口からはもうひっきりなしに突かれる度に声が溢れ、堪らず亮の背に爪を立てた太一。

 そんな微かな痛みですら、甘い。と亮も瞳をとろけさせ、もっと奥へ。もっと飲み込んで。と深く深く穿ってゆく。
 そんな、中を蹂躙し快楽の沼へと引き込まんとするその動きは動物そのもので、目の前にバチバチッと火花が散っていくのが見えた太一は、ぐずぐずになった思考のままに、

「はっ、あんっ、りょっ、りょうっ……気持ち、いい、っ……!」

 と背筋を仰け反らせ、喘いだ。

 二人の肌へと纏わりつく濃厚な空気は堪えず昇りゆらめいていて、飽和してゆく快楽に溶けていくだけ。

 太一の甘い声と、必死に抱きついてくる健気さに亮の陰茎がぐんっと体積を増し、更に奥深くなる腰。
 貫かれるようなその激しさに、太一が何度目か知らぬ精液を触れてもいないのにまたしても吐き出せば、そのまま上からかぶり付くように唇を塞がれて、くぐもった声が二人の隙間から溢れ落ちる。

 なんともいやらしい音が口の中で響くのを互いに感じながらも、もっと。とねだるよう、太一の体を揺さぶる亮。


 粘着質な音と肌がぶつかる音が、部屋に響いている。

 太一の陰茎から吐き出された精液と常に溢れ出す愛液がポタポタと亮のブレザーに染みを作ったが、それでも二人は止まる事なく互いを貪り合った。


 亮の腰が引け、抜ける限界までになった所で鋭く打ち付けられる。
 その過ぎる快楽が太一の目の前にまたしても火花を散らせ、意識を遠退けさせてゆく。
 糸を引いて離れた唇から、

「あんっ、好きっ、りょう、すきっ、」

 と絶えず紡がれる言葉に亮もまた、

「俺も、大好きっ、愛してるっ、」

 と囁いてはギリッと奥歯を噛み締めて、恥骨が太一の尻に当たるほど、深く自身を咥え込ませた。

 もうまともに名前も呼べぬほど乱れた太一の息が耳元で揺れ、その声にますます煽られて亮が何度も何度も深く腰を打ち付け焼けるような中を裂けば、太一のきつきつに広がった蕾は繋がった部分を妖しく濡れ光らせて、それでも美味しそうに亮の陰茎を飲み込んでいく。


「ひっ、あっあっあっ、お腹苦しっ、あぁぁ、おかし、くなるっ、こんなの、あたま、おかしくなるっ、あぁっ……」

 そう喉を晒しながら喘ぐ太一のその細い首もとを本能のように噛み、

「……おかしく、なってよ」

 なんてそろそろ限界を迎えそうな中、歯を食い縛りながら亮が笑う。
 その声も、噛まれた首筋もなにもかもが気持ち良くて、太一は酸欠に陥りながら、生理的な涙やら涎やらでぐちゃぐちゃになった顔のまま、亮の名を辿々しく呼び続けた。


 どちらも汗を滴らせながら、それでも、もっと、もっとくっついていたい。と互いに身を抱き締めあい、快楽の中へと溺れていく。
 迫る射精感を、まだ少し、もう少し。とやり過ごし何度も揺さぶる亮の腕の中で、

「ひぅっ、あっあっ、イッ……!」

 と飽和した快楽に飲み込まれ譫言のようにこぼす太一。

 未だだらだらとはしたなく精液を垂れ流している太一の陰茎を亮が握り込み、竿に精液を塗り込ませようと上下に手を動かせばどうしようもなく湧く快楽に太一が目を見開いた。

「あっあっ、あっ!」

 開かれた太一の唇に己の唇を重ね、舌を吸う。
 息も絶え絶えになりながらもそれでも懸命に舌を絡ませてくるそのいじらしさに亮も我慢の限界だと一際奥深くを穿ち、ブルルッ、と体を震わせ、吐精した。




 互いの喘ぎすら口の中で消え、びりびりと震える快楽に舌先を絡ませたまま抱き合った後、雄の本能なのか深く深く飲み込まさんとばかりに亮の腰が動く。
 中を掻き回され、未だにどくどくとコンドーム越しに吐き出される亮の精液がじんわりと温かく、奥を疼かせながらあさましくも欲しいと収縮を繰り返す自身に、ひくんっひくんっとあえかに震えながら、太一がくたりと床に沈んだ。

 ……今の、凄かった……。

 そう初めてのセックスの気持ち良すぎる余韻に全身を汗や精液や愛液やらで汚したままうっとりと目を瞑っている太一の中から萎えた陰茎をずるっと引き抜き、ごぷっ、と泡立った愛液が溢れ出ては床へと垂れてゆく卑猥すぎる光景をぼんやりとした頭で眺めた亮は、未だに震えている太一の額に優しい口付けを落とした。

「……だいじょうぶ?」
「……んっ、らい、じょうぶ……」
「……呂律回ってないじゃん。無茶させすぎちゃったね……」

 労るよう、ちゅっちゅっと頬やこめかみに唇を落とし、よしよし。と太一の汗で張り付く髪を梳く亮。
 未だ快感が残る体はぴくんっと跳ねたが、それでもその唇や指の感触が気持ち良く、飽和していく多幸感に太一はふにゃりと頬を弛め、

「りょう、ぎゅってして……」

 なんて恍惚の表情を浮かべながらねだり、その顔に、ほんとなんなのこの可愛さ! と鳩尾に響く愛しさに亮が呻きながらも、ぎゅううううぅ、と太一の体を背骨が軋むほど、強く強く抱き締めたのだった。






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