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謙也君


お昼休み、お昼ご飯を食べてから持ち寄ったお菓子をクラスの友達と交換しあった。

カボチャのパイにタルトにケーキ。いろいろ食べられて幸せー。

「伊織は何持ってきたの?」

「カボチャのクッキー!」

「お、なんや楽しそうなことしとるやん!」

家にあった可愛い缶の入れ物に入れてきたクッキーを出すと、前にいる友達ではなく、後ろから声が聞こえた。

この声はもしかして、と振り向くと、やっぱり同じクラスの謙也君が笑顔で立っていた。

「凄いな、伊織が作ったん?」

「そうだよー。クラスの女の子たちでね、いろいろ持ち寄ろうってことになってたの。」

他の子が持ってきたお菓子を示しながら笑うと、ハロウィンっちゅーかカボチャ祭やな、と謙也君も楽しそうに笑った。

「よかったら食べる?」

「ええん?おおきに!」

口に合うだろうかと見ていると、謙也君はキラキラ笑顔で、めっちゃうまいわ!天才やな、伊織!と言ってくれたからホッとした。

「ほんまおおきに!あっ、せやけど俺、なんも返すもんないかも。持ち寄りで交換やねんから貰うばっかやアカンよな。」

別にそんなのいいよ、と言うと、いやいや、きっとなんかはあるはずや、ちょっと待っとって、と謙也君は鞄をあさりだした。

「謙也君が美味しく食べてくれたのが嬉しかったから、本当にそれだけでいいよ。ありがとう。」

必死に探す謙也君がおもしろくて、少し笑いながら言うと、謙也君は、なんやねん、照れるやんけー、と背中をバンバン叩いてきた。

もう、痛いよ、と言おうと思ったけど、笑う謙也君の顔がすごく楽しそうだったから、つられて笑ってしまった。


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