金ちゃん
「伊織ー!お菓子ちょうだいやー!」
昼休みになると同時に私のクラスに走ってきた金ちゃんが可愛くて、つい笑みがこぼれる。
「今日ハロウィンだから?」
「せやせや!カボチャお菓子祭やねんで!」
ハロウィンの認識としてそれはどうなんだろうと思いつつも、金ちゃんが楽しそうだからまあいいか、と納得することにした。それに、金ちゃんがハロウィンのことをお菓子を貰えるお祭りだと思ってるだろうと思って、ちゃんとお菓子作ってきてるしね。
「パンプキンパイ作って来たよ。はい、どうぞ。」
切り分けてラッピングしたパイを一切れ渡すと、金ちゃんは、うっしゃー、と嬉しそうにはしゃいだ。そんなに喜んでくれると、なんだかこっちまで嬉しくなる。
「おおきに!なあ、なあ、わいの為に作ってきてくれたん?」
「そうだよ。金ちゃん喜んでくれるといいなーって。だから金ちゃんに喜んでもらえて嬉しいな。」
いただきますっ、と大きな声で言ってから美味しそうにパイを頬張る金ちゃんを見て、頬が緩んだ。可愛いなー。
「めっちゃうまいで、伊織!ほんまおおきになっ!」
「いえいえ。」
金ちゃん人気者だから、きっとクラスにいるだけでたくさんお菓子貰えると思うんだけど、それでも昼休み一番に私のところに来てくれたのが、なんだか嬉しくて、少しくすぐったかった。
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