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銀さん


「銀さん、トリック オア トリート。」

不思議そうに首を傾げる銀さんのために、もう一度言葉を変えて言い直した。

「お菓子くれなきゃいたずらするぞー、銀さん!」

銀さんは、お腹へったん?と微笑みながら首をかしげた。そうじゃない、そうじゃないんだよ、銀さん!

銀さんは、どうやらハロウィンを知らなかったみたいだ。こんなに学校中がハロウィン一色なのに知らずに過ごせるなんて、ある意味すごいよ。

「すまんな、伊織はん。なんも食べ物持ってないんや。」

銀さんとハロウィン楽しみたかったんだけど知らないならしょうがないか、と少し肩を落とす私を見て、銀さんは元気づけるように私の頭にポンッと大きな手を優しく置いた。

「今からの授業終わったら昼休みやから、一緒にお弁当食堂で食べよか。お弁当の後になんか甘味おごったるな。」

別にそういう意味じゃないんだけどなーと思いつつも、銀さんの気遣いが嬉しくて、銀さんと二人で食べるお昼ご飯が楽しみで、うんっ、とうなずいた。

銀さんは、元気になったみたいでよかったわ、と微笑んで、私の頭に置いていた手を動かして頭を撫でてくれた。

ハロウィンっぽくはないけど、これはこれで幸せだからアリだと思います!


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