学生服を着たいから貸して
「学生服を着たいから貸してと頼んだら」
case:四天宝寺
case1:白石君
「いやや。」
「ええやんかー、貸してぇやー。」
「んな可愛らしゅー言うても魂胆はわかってんねん。寒いから俺の身ぐるみはいで、自分だけあったまるつもりやろ。」
「…ちっ。」
case2:銀さん
「え?うーん、まあ、ええけど、」
「っ!銀にまでそんな渋られるやなんて!うわーん、めっちゃショックやー!銀やったら、ええでー、って貸してくれるって思っとったんに。へこむ、全力でへこむ!」
「はは、元気やなぁ。ほら、これ貸したるから巻いとき。」
「マフラー?」
「学ラン貸したってもええねんけど、わしのは自分にはちょっと大きすぎて動きにくいやろうから、マフラーな。」
「っ!銀、男前!」
case3:財前君
「は?なんで俺が。」
「寒いねん。それめっちゃあっかそうやん。」
「寒いって、マフラーぐるぐる巻きであったかそうやないですか。」
「あ、これあったかそうやろ?銀が巻いてくれてん!めっちゃあったかあったかやで!」
「…。」
「せやから財前が学ラン貸してくれたら、首も上半身も完全防寒やねん!…って、なんでマフラーとるん!寒いわアホ!」
「はいはい、アホでええっすから、はよこれ着て下さい。」
「え?学ラン貸してくれるん?おおきにー。わっ、あったか!てか意外とでかっ!」
「ほら、はしゃいで動きまわらんとじっとして下さい。俺のマフラー巻いたりますから。」
「わーい!…て、銀のマフラー返してくれたらええやん。なんで財前のなん?」
「師範には俺がちゃんと返しておきます。学ランもマフラーも手袋も耳あて代わりのヘッドフォンも俺が全部貸したります。せやから他の人にはなんも借りんといて下さい。」
「んー、ほな、そうする。せやけどヘッドフォンはやめとくわ。」
「なんでですか?」
「やってヘッドフォンしてもたら財前の声が聞こえへんくなって、もったいないやん。」
「…じゃあ手袋もかたっぽしか貸さなくていいっすね。」
「へ?なんで。」
「やって、両手に手袋してもたら直接手ぇ繋げへんからもったいないやないですか。はい、手ぇ貸して。」
「…なあ、財前。」
「ん?」
「照れるんやけど!なあ、なんなんこの空気!照れるんやけどっ!」
「はいはい、そうっすね。(もっと照れて、意識したらええねん。)」