銀さんと鉄君
今日は銀にぃが大阪から帰って来る日だ。
昨晩鉄にそれを聞いてからいてもたってもいられなくて、あんまりよく眠れなかった。
「鉄ーっ、銀にぃもう帰ってきた?」
「いや、まだだぜ。」
玄関の前から石田家の庭にいた鉄に話しかけると、入ってくれば、と扉を開けてくれた。
「前帰ってから、もう何年も会ってない気がするよ。楽しみだね!」
「何年もって、…つい3ヶ月前に会っただろ。」
「実際は3ヶ月でも、体感時間は何年くらいたってるの!」
鉄は、まったく、と言いながら苦笑した。
でも、口ではそんなこと言いつつも、鉄だって銀にぃが帰って来るの楽しみにしてたの知ってるんだから。
鉄の顔を見ながら、くふっと笑っていたら、玄関の扉が外から開いた。
「ただいま。ん、伊織来とったんか。」
「おっかえり!」
「おかえり、兄さん。」
銀にぃは、ははは、二人とも大きなったなぁ、なんて笑いながら私たちの頭に手を置いた。
「銀にぃ、銀にぃ!勉強みてくれない!わからないところがあって。」
「あっ、お前普段は勉強なんてしないくせに!兄さん、テニスしましょう!昔よく行ったストテニ!」
「あ、ずるい、鉄!私がストテニ行きたいって言っても連れてってくれないくせに!」
「伊織と俺がテニスしたら危ないだろ。」
「じゃあ手加減してよ。」
「テニスで手は抜かねぇ。」
銀にぃをはさんで鉄と言い合っていたら、銀にぃは楽しそうにはは、と笑った。
「変わらんなぁ。でも喧嘩はアカンで。」
ちょっと口を尖らせながら、喧嘩じゃないもん、と言ったら、同じ口調の、喧嘩してない、という鉄とはもって、つい笑ってしまった。
「ほな、3人でストテニでも行こか。伊織の勉強は夕方みたるさかい。」
「わーい!行く行く!」
「部屋からラケット持ってきます!」
鉄はそう言うと、急いで部屋に走って行った。
「銀にぃが帰って来てくれてすっごく嬉しい。」
「わしも伊織が出迎えてくれて嬉しいで。」
「えへへ、今度大阪に行ったら、大阪案内してね!」
「おう、任せとき。」
銀にぃがいて、鉄がいて、久しぶりに3人揃えたのが嬉しくて、寝不足なのもふっとぶくらい、すっごく嬉しくなった。