short | ナノ


小春ちゃんと相対性


放課後、今日は部活はないんだと言う小春ちゃんと話していたら、気がついたら空は茜色になっていた。

「小春ちゃんと一緒にいると、なんだか時間あっという間だね。」

「アタシも伊織ちゃんとおると時間あっという間やわ。ふふ、Put your hand on a hot stove for a minute, and it seems like an hour. Sit with a pretty girl for an hour, and it seems like a minute. That's relativity やね。」

なんだろう。英語、だよね?小春ちゃんさすが発音いい!でも私、英語わかんないや。

「どういう意味なの?」

「熱いストーブの上に手ェ置いてたら1分も1時間に感じられるけど、かわいい女の子と座っとったら1時間も1分くらいあっという間に感じてまうな、って感じの意味。アインシュタインが言った言葉やで。相対性理論をめっちゃ簡単に言い表してくれた言葉やね。」

アインシュタイン、相対性理論、なんだか難しい言葉がたくさんで頭がこんがらがりそうになったけど、1つだけわかったことがあって、小春ちゃんに笑いかけた。

「じゃあ、小春ちゃんがかわいいから、小春ちゃんと一緒の時間はあっという間なんだね。」

小春ちゃんは嬉しそうに、ふふっ、と笑った。

「ほな、伊織ちゃんがかわええから、伊織ちゃんとおると時間あっという間なんやね。」

小春ちゃんの言葉と笑顔がなんだかくすぐったくて、だけどやっぱり嬉しくて、えへへっと笑うと、小春ちゃんも一緒に笑ってくれた。


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