short | ナノ


甲斐君とおひるね


沖縄に越してきてもう数ヶ月たった。

初めはこちらの時間の流れ方に戸惑ったりもしたが、今ではそれも心地好く感じるようになった。

「あー、伊織!なにしてんばぁよ?」

そんなことを思いながら木にもたれかかってウトウトしていると、私を見つけた甲斐君が走り寄ってきた。

「甲斐君。あったかいからね、ちょっとのんびりしてた。」

ふぁあ、と一つあくびをすると、甲斐君が、わんも寝る〜、と隣に来た。

「眠いの?」

「眠いわけやあらんけど、伊織の横で寝たらいつもよりいい夢見れそうだからさー。」

沖縄の眩しいお日様に似た笑顔を見て、私もつられて笑った。

「私も甲斐君が隣にいてくれたら、いい夢見れそうだな〜。」

さっきまでも、お日様のおかげでじゅうぶんあったかかったのに、甲斐君が隣に来たら、もっとあったかくなった気がした。

ついあたたかさに惹かれて、甲斐君にちょっと寄り添うと甲斐君は、伊織はじゅんに甘えんぼさんやっしー、と笑いながら私を腕に優しく閉じ込めた。

「おやすみな〜、伊織。」

「おやすみ、甲斐君。」

ポカポカする隣のあたたかさに、そっとひたいをくっつけて、目を閉じた。

ほんと、なんだかいい夢見られそう。


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