4:幸せを渡したい
「小春ちゃーん!」
「ん、伊織ちゃん?…って、わぁ、どないしたん。ほっぺに土ついてるで。」
伊織ちゃんの声が聞こえて振り向くと、顔を土で汚した伊織ちゃんがいた。
ハンカチで伊織ちゃんのほっぺを拭うと、伊織ちゃんは恥ずかしそうに笑ってから、両手を差し出した。
「これ!探してたの!」
「ん、クローバー?わ、四つ葉やないの。よぉ見つけたね。」
「小春ちゃんにあげたくて探してたんだ。」
私のために探してくれたんや。
ふふ、なんか嬉しいわぁ。押し花にして、しおりにでもしようかしら。
「この花言葉、知ってる?」
「え、」
四つ葉のクローバーの花言葉って、あれ、やんな?
え、伊織ちゃんそれ知ってて、渡してくれたってことなん?
「ふふ、クローバーの花言葉は幸福なんだよ!」
小春ちゃんにたーくさん幸福が訪れますようにー!と楽しそうに笑う伊織ちゃんを見て、脱力してしまった。
「わっ、どうしたの、小春ちゃん?」
「や、大丈夫やで。ありがとうね、大事にするわ。」
四つ葉のクローバーの花言葉に、「be mine(私のものになって)」っていうのがあるの、知らんのやろな。
そっちのことかと思って、ちょっと照れたのは、伊織ちゃんには内緒にしとこ。
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