long | ナノ


2:タックルしたい


廊下を歩いていたら、少し遠くに小春ちゃんを発見した。

「こーはるちゃーんっ、…ぶふぁっ!」

小春に飛びつこうと勢いよく走り寄った私は、小春ちゃんが紙一重で避けたせいで、壁に激突してしまった。

「小春ちゃん、痛いよ。なんで避けるの?」

「避けへんかったらアタシが痛いやないの。」

確かにそうかもしれないけどさー、とぶつぶつ言いながら壁にぶつかったところをさすっていたら、小春ちゃんが私の前にしゃがんだ。

「痛いの痛いの飛んでけー。」

小春ちゃんは何回か、飛んでけー、をやったあとに、飛んでった?と首を傾げた。

可愛い、なにこれ超可愛い。

小春ちゃんの周りにお花が見えそうだよ。

「飛んでった、飛んでった!お空のお星様まで全力で!」

「ほんならよかった。もう廊下走ったらアカンで。」

「うん!」

今度小春ちゃんを見つけたら、歩いて近寄ってからタックルしようと心の中で決意した。


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