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園芸委員と涙



嫌なものを見てしまった。

せっかく今日は、石田君と一緒に委員会なのに。

一人でベンチに座る気になれず、花壇のはしに腰かけた。

「あ、咲いてる。」

この間、もう少しで咲きそうだと言っていた私の好きな花が、一輪咲いていた。

いつもなら、咲いてくれて嬉しいのに、今日はなんだか嬉しくない。

むしろ、寂しい。

「あ、おったおった。神崎さんやんな。」

後ろを振り向くと、そこにいたのは石田君じゃなくて金髪の石田君の友達だった。

確か忍足君って言ったっけ。

「銀から伝言や!すまんけど、ちょっと遅くなるって、・・・って自分泣いとるんか!?」

泣くつもりはなかったけど、忍足君があわててるから、泣いてたみたいだ。

「ち、ちょっと、待っとってや!」

でも、私には人前で泣いて恥ずかしいとか、そんなことを気にしている余裕がなかった。

「石田っ、君、一緒に見ようって、言ったのに。咲いたのに、もう咲いてる、のに。なのに、」

なのに、今日一緒にいた女の子は誰?

どうしてあの子と一緒にいたの?

あの子が彼女なの?

私は今日ここへ来る前に、石田君が知らない女の子と二人でどこかへ行くのを見てしまったのだ。

きっと、あの子と一緒にいるから、遅れてくるんだ。

私は彼女じゃないから、こんな妬いたりなんて、しちゃいけないのに。

それでも、私の中の黒い嫌な感情は消えてくれなかった。

ああ、こんな時に、気づきたくなかった。

私、石田君を、好きになってたんだ。

いつの間にか、忍足君はいなくなっていた。

一人になった花壇で、私は沢山泣いた。


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