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月曜日:おはよう


朝起きて枕元に置いてあるメガネケースを手で探った。

メガネをかけて、いつもどおりの朝の支度。

謙也君はいなくなって、メガネが戻ってきた。

これが私の日常なんだよね。今はちょっと、さみしいけど。

ここ数日はずっと謙也君が私の家の前で待っていてくれたけど、もう今日からはいないんだと思うと、ちょっとドアを開けるのが嫌になってしまった。

いけない、いけない。昨日はちゃんと受け入れられてたのに。

しっかりしなきゃ。

私は沈みそうな気持ちを振り払って、お気に入りのメガネに軽く触れてからドアを開けた。

「おはよ、伊織!」

「え、…謙也君?」

謙也君は、驚く私の手を自然に取って、学校行くでー、と歩きだした。

謙也君に引っ張られるようにして歩きながら、あれ、昨日ちゃんとメガネ戻ってきたこと伝えたよね、というか、今かけてるよねメガネ、と思っていると、謙也君は前を向いたまま話し出した。

「メガネ戻ってきたから終わりって、なんやさみしいやん。せやからさ、これからもこうやって一緒に学校行こうや。休みの日も一緒にどっか行こうや。俺、まだ伊織と一緒におりたいねん。」

謙也君も私と同じことを考えていたことにびっくりして、謙也君の顔をじーっと見てしまった。

「あ、ちょっ、今は見えてるんやろ、恥ずいからそんな見んといて。」

そう言いながら、繋いでいない方の手を顔の前で振って顔を隠そうとしている謙也君の顔は、なんだかちょっと赤い気がした。

「私も、このまま謙也君と話せなくなったらさみしいなって、思ってたんだ。だから、今日も部活終わるの、待ってるね。」

謙也君は一瞬びっくりした顔をしたけど、すぐに嬉しそうな笑顔になった。

「おん!」

謙也君のその笑顔は本当にキラキラしていた。

声の表情だけじゃなくて、顔の表情も豊かな人だったんだな、って初めて知って、嬉しくなった。

まだまだ知らないことがお互いにたくさんあるけど、これからも、こうやって少しずつ、謙也君のことを知っていって、私のことも知ってもらいたい。

謙也君と一緒なら、きっとこれからも、今まで以上に楽しい日々が待っている気がする。

繋がれた謙也君の手は、いつもよりちょっとだけあったかかった。


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