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4:今でも大好き


白石君の前で大泣きした翌日、学校に行きたくなかったけど、そんなこと言ってられないから私は家を出た。

幸いだったのは、白石君とはクラスが違うことだ。
だって、会いたいと思っても一日中一回も会えないこともあるくらいだし。

会えないのは寂しいけど、会わなかったら少しずつ気持ちも落ち着いてくるよね。よし、もうクヨクヨしない。

「あ、神崎さんおはよう。」

「え、…おはよう。」

なんでいるんだ白石君。あれ、ここ私のクラスだよね。

会わなかったら少しずつ気持ちも落ち着いてくるだろうと思ってたのに、朝から見るには眩しすぎる白石君の笑顔に出鼻をくじかれてしまった。

本当になんでいるんだ白石君、と思いながら白石君の靴を見つめていると、白石君がさらに近づいてきた。

「もう泣いてへんか心配になって来てん。」

そう言ってから白石君は私の目の下あたりに指をそわせた。

「…目の周り、赤いな。」

だって、昨日は白石君との数えるほどもないくらいの少ない思い出を思い返しながら泣いていたから、なんて本人に言えるわけがなくて、私は曖昧に笑った。

「そいつんこと、ほんまに好きやったんやな。」

「…うん、好き。姿が見えるだけで嬉しくて、声が聞こえるだけで幸せで。一目惚れだったけどね、本当に好きなんだ。」

フラれちゃったんだから、いまさら言っても仕方がないけど。

好き、今でも、大好き。

白石君の顔が見られなくなって、私はまた目線を白石君の靴に落とした。

白石君はホームルームがはじまるギリギリまでまた私のそばにいてくれて、そんな優しさが嬉しいのに辛くて、涙がちょっとこぼれてしまった。
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