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謙也君の受難


白石と神崎、なんや最近仲ええな、思ったら付き合っとったらしい。

白石、神崎に対してあんな冷たかったんに、あれで好きやったとか驚きや。

まあ、それより驚いたんは、付き合いだしたあたりから、白石が急に神崎に優しくなったことやけど。

「謙也、さっき神崎と何話しててん?神崎めっちゃ楽しそうやってんけど。」

「あー、消しゴム忘れたって言うとったから、俺のん貸したってん。猫型とかテニスボール型とかいろいろあるでって見せたら喜んでんや。」

結局、可愛すぎて使うのもったいないからって、シンプルな消しゴム借りてってんけどな、と笑いながら言うと、白石はわかりやすくムッスーとした顔になった。

「消しゴムくらい俺かて持っとるわ。」

「まぁ、せやろな。」

「謙也、ちょっと神崎に頼られすぎや。もっと頼りない男になり、今すぐに。」

「無茶苦茶言いなや!」

神崎と白石が仲良くなったんはよかったと思うけど、神崎に優しくなったかわりに、俺に無茶言うことが多くなったんはどうにかして欲しいわ、ほんま。

なんで神崎と仲ええねん、とか言われても、神崎と仲良くなったん、白石より俺のが先やしな。まぁ、それも白石が無茶言う原因の一つな気ぃもするけど。

「あ、白石君、謙也君、さっきの体育すごかったね。バスケもうまいなんて、女子みんなでびっくりしてたんだよ。」

「神崎、俺のこと見てくれとったん?おおきに。」

「おう、神崎!そっちも体育お疲れさん。」

神崎が来た途端に、白石はさっきまでのムスッとした顔をしまって笑顔になった。よかった、よかった。

でも、気づいとるかわからんけど、神崎、俺らに声かけるとき、白石の名前先に呼ぶようになったんよな。

前は絶対、俺を先に呼んどったんに。

白石も、それを聞いて無意識かもしらんけど、なんや喜んどるし。

まぁ、なんだかんだで、いい感じやんな、この二人、と思ってちょっと表情がゆるんだ。





「ん、謙也君何か嬉しいことあったの?」

「神崎、前も言ったけど、謙也がにやけとるときは頭ん中やらしいことでいっぱいやで。近づいたらアカン。」

「なっ、せやから変なイメージ作んなや、アホ!」





四天∞企画

柊きいろさんのリクエストで「爽やかに冷たい白石君の続編」でした。

リクエストありがとうございました!


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