恋人やもん
部活が終わった後、教室で俺を待ってくれとる神崎を呼びに行くと、待ち疲れたのか神崎は寝ていた。
疲れてんのに先帰らんと待っててくれるやなんて、俺愛されてんな、なんて思ってちょっとにやけながら神崎の前の席を静かにひいて座って神崎の頭をなでていると、教室の扉が勢いよく開いた。
「白石ー!神崎ー!帰りタコ焼き屋寄らへん…、って何してんねん。」
「謙也、今神崎寝てんねん。静かにしぃや。」
起きてもたらどないすんねん、と言いながらもずっと神崎の頭を撫でていると、謙也が、すまんすまん言いながら静かに近づいてきた。
神崎かわええなと思いながら、頭撫でたり、ほっぺつまんだり、髪をすくったりしたけど、神崎はたまにくすぐったそうに笑うだけで全く起きんかった。なんやねん今の笑い方。かわええ。
「ほんま気持ちよさそうに寝てんな、白石がめっちゃちょっかい出してんのに全然起きひんわ。」
神崎かわええな、と笑う謙也の言葉に少し眉が寄った。
「謙也、何寝顔見てんねん。てかかわええとか言いなや。」
「自分も見とるやんか。」
「俺はええねん。」
「なんで?」
「恋人やもん。」
勝ち誇ったように言うと、謙也は笑いながら、俺かて友達やから見てええやろ、とか言うてきた。アホか。
神崎の髪をこんなにずっと撫でる機会もあらへんからこのまま撫でときたいんやけど、もう少ししたら起こしたろ。
寝顔可愛かったで、なんて言うたらどないな反応すんねやろって思ってちょっとにやけた。