大好き6個
「小春〜。」
「ユウ君、どないしたん?そんなボケーっとして。」
ボケーっとしとるんやろか、自分ではよくわからん。
「さっきな神崎におおてな、カップケーキもろたんや。」
「よかったやないの。あら、可愛いラッピングやな。」
せや、謙也のと違うて、俺のはちゃんとラッピングしてある。
「俺だけ、特別やねんて。」
「そらそうやろな。」
「・・・俺のこと、好きやねんて。」
「は?」
いや信じられんかもしらんけど、俺のことが好きらしいわ、と思いながら小春を見たら、小春は心底驚いたような顔をしていた。
「え、ユウ君、今気づいたん?」
「へ、小春は知っとったん?」
驚いて聞くと、小春に頭をはたかれた。地味に痛い。
「何いまさらアホなこと言うてんねん!神崎ちゃんずっと直球で好きって言ってくれとったやないの!」
それなのに今まで気づいとらんかったなんて、ユウ君のアホ!、と言う小春を見て俺は眉を下げた。
「せやかて、しゃーないやんか。まさか俺のこと恋愛的な意味で好きになるやつがおるなんて思いもよらんかったから、てっきり尊敬しとる先輩的な意味かと。」
俺の言葉を聞くと小春は、はあ、とため息をついてから俺に向きあった。
「で、どうするん?」
「神崎は、俺が小春のことが大好きなんは知っとるけど、自分とも仲良くしてほしいって言っとった。」
「ユウ君は、どないしたいん?」
「俺は・・・。」
わからへん。
そんな俺を見て、ふっと小さく笑ってから、まあ、ユウ君なりにしっかり考えたり、と言った小春に、俺は小さくうなずいた。
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