大好き4個
全く私の気持ちが理解されていないと気がついた私は、やり方を変えてみることにした。
今までは直球すぎたんだよ、きっと。
もうあんまり好きとか言わないようにしよう。
そう決意を固めていたら、目の前からちょうど一氏先輩が歩いてきた。
「一氏先輩!」
「おお、神崎。」
元気か、と言って小さく片手をあげた一氏先輩はとってもかっこよくて輝いて見えた。
やっぱり好きだ。
いや、でもここで言ってしまったらいつも通りになる!
たえろ、たえるんだ私!
・・・たえられない。
目の前に一氏先輩がいるのに、好きって言えないなんて。
「なんや、ちょっと気分悪そうやな。疲れとるんか?」
一氏先輩はポケットから何かを取り出すと、ほれ、とそれを差し出した。
何だろうと思いつつ両手を出すと、チョコレートが3つ降ってきた。
「疲れたときは甘いもんやで〜。」
「あ、ありがとうございます、一氏先輩!」
おう、とまた片手をあげて一氏先輩は去って行った。
次に一氏先輩に会ったら、また大好きだって伝えよう。
10回言ってだめなら、100回言う、くらいの気合いでがんばるんだから!
手の中の可愛いチョコレートの包みを軽く握りしめ、そう決意した。
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