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大好き3個


「あら、神崎ちゃん。どないしたん、そんな顔して。」

「あ、小春先輩。」

私が泣きそうなで歩いていると、小春先輩は心配そうな顔で話しかけてきた。

「・・・撃沈です。一氏先輩が観たいって言ってた映画も一氏先輩が好きなバンドのライヴも一氏先輩が行きたいって言ってたお笑いライヴもファッションショーも、全滅です。うわーん!」

まだ映画を断られたときは次頑張るぞ、って思ってたけど、全部断られるとさすがにへこむ。

小春先輩は私のほっぺたを軽く引っ張った。

「もう、そんくらいでへこんでどないすんの。アタシなんて、光きゅんにロックオンしたら毎回冷たい目で見ながらキモいっスわって言われとるけど、全部へこんでへんで。神崎ちゃん、へこんどったら恋のチャンスはやってこーへんよ。」

「っ、小春先輩!!」

小春先輩に抱き着くと、小春先輩は、よしよしと言いながら背中を撫でてくれた。

そうだよね、こんなことでへこんでたらダメだよね!

「小春〜!って、神崎、何俺の小春に抱き着いてんねん。」

小春先輩の名前を叫びながら走ってきた一氏先輩は、小春先輩に抱き着く私に気がつくと、ペシッと私の頭を軽くはたいた。

一氏先輩が、私の頭を触った!と喜んでいると一氏先輩に小春先輩と引き離された。

「ってかな、俺の小春にやなかったとしても、そういうことするもんやないで。」

一氏先輩はちょっとだけたしなめるような顔をして言った。

「そういうことは好きな奴にするもんや。」

一氏先輩は、せやから俺は小春に抱き着いてもええよなー、って小春先輩に抱き着こうとして小春先輩にしばかれていた。

「じゃ、じゃあ!私は一氏先輩に抱き着いていいですか!?」

私が勇気を出して言うと、一氏先輩は不思議そうな顔で私を見た。

「あ?なんでやねん。好きな奴にするもんや言うとるやろ。」

「なんでやねんって、こっちがなんでやねんっ!ですよ!私が好きなのは、一氏先輩ですってば!いつも言ってるじゃないですか!」

ちゃんと分かってくれてますか!?と言いながら一氏先輩に詰め寄った。

「おう、おおきにな。でも俺は小春のもんやから抱き着いたらアカンで。」

「いや、アタシ別にユウ君の所有者やないよ?」

「小春先輩!さっきは助けられましたが、・・・昨日の友は今日のライバルなんですからっ!」

私が捨て台詞を吐きながら走り去ろうとすると、小春先輩は、神崎ちゃんはやっぱりそのくらい元気な方がかわええなあ、って笑っていた。

小春先輩、なんて心が広いんだ。

それなのに私は、さっきまでへこんでたのを元気づけてくれたお礼も言ってない。

「あの、小春先輩、ありがとうございました。私、負けません!頑張りますから!」

「お、神崎何か勝負事でもするんか?勝ったもん勝ちやで、頑張れよ。」

だから!一氏先輩のことなんだけど!

どうしたら一氏先輩に私の気持ちをちゃんと理解してもらえるのか考えると、なんだか頭が痛くなってきたけど・・・

でも、やっぱり一氏先輩に頑張れって言われたことが嬉しくて、明日も頑張るぞーと気合いをいれた。


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