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大好き1個


最近、朝の日課がある。

「一氏先輩ー!おはようございます。今日も輝いてます。好きです付き合って下さい。」

「神崎おはよ。何べんも言うとるけど、俺、小春と付き合おとるから。」

「神崎ちゃんおはようさん。何べんも言うとるけど、アタシ、ユウ君と付き合おてなんかないからね。」

最近の朝の日課、それは一氏先輩に告白してフラれること。

「小春先輩もおはようございます。今日もねたましいです!」

「お前、小春になんてこと言うんや!」

「あらま、モテる乙女はつらいわあ。」

小春先輩はいつものことながら、私の逆恨みに怒ることもなく、笑顔で流してくれた。

こういう優しいところが大好きな反面、一氏先輩に愛されているところがねたましい。

「私もっ、私も坊主頭になりますから!私のことも見て下さい!」

いつもはここで引き下がるんだけど、今日は引き下がりたくなくて食い下がると、一氏先輩はちょっと眉を寄せて私を見た。

「アホか。俺が好きなんは小春や。別に坊主頭が好きなわけとちゃう。」

わかってるよ、そんなの、わかってるけど。

私は小春先輩ほど優しくもないし、頭もよくないし、面白くもないし。

「うわぁあん、小春先輩のばかぁあ!小春先輩優しいし、頭いいし、面白いし、私っ、私、小春先輩に勝てるところ、一個もないじゃないーっ!」

「お、神崎にも小春の良さが分かるか!見る目あるやないかー!」

一氏先輩は笑いながら私の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。

「、っ!」

一氏先輩に、初めて頭撫でられた。

撫でられた理由はさっきまでへこんでた原因の小春先輩のことだったけど、そんなの気にならないくらい嬉しかった。

「ほなな、神崎。」

「またね、神崎ちゃん。」

一氏先輩はもう一回ポンッと私の頭を軽く叩いてから、去って行った。

「はい!一氏先輩、小春先輩、また明日!」

明日も、日課は変わりそうにない。


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