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step7:素直になる


昨日はあれから家に帰って何も考えずに眠りについた。

そのおかげか、昨日よりは頭がすっきりして落ち着いていた。

ユウジ君が小春ちゃんのこと好きなのはわかってたことだし、あんなに取り乱すことなかったのにな。

ユウジ君気を悪くしてないかな?会ったら謝ろう、と思いながら家の扉を開けて外に出ると、人影が見えた。

「伊織。」

「え、ユウジ君?おはよう。」

すごい偶然だね、こんなとこで会うなんて、と笑いながら言うと、偶然ちゃうわ、アホ!と言われた。

「あー、いや、ちゃう。アホとかそんなん言いたいんやなくてな。」

学校へと歩きだしたユウジ君の隣へ行くと、ユウジ君は珍しく歯切れの悪い話し方をした。

「昨日は、すまんかった。小春と伊織が釣り合わんとかやなくてな、ほんまは、あのな、ほんまはな。」

なんだか口を挟める雰囲気じゃなくて、私は小さく頷きながら、黙って聞いた。

「小春と伊織に、付き合って欲しくなかったから、なんや。」

それって釣り合わないとどう違うんだろう、と思っているのが伝わったのか、ユウジ君は片手で顔を覆いながら言葉を続けた。

「せやからな!俺、伊織が好きやねん。小春と付き合って欲しくない、つーか俺以外誰とも付き合って欲しくなんかないわ。」

顔を隠したまま、わかったか!?と聞いてきたユウジ君は、声は大きかったけど、なんだか少し不安げにみえた。

「わかった。」

「・・・さよか。」

「うん、わかった。」

なんで、昨日私があんなに取り乱したのか。

なんでユウジ君が小春ちゃんが大好きだって再確認したら泣いてしまったのか、わかった。

「私も、ユウジ君、好きなんだ。」

だから昨日は、ユウジ君が小春ちゃんばっかり大好きで悲しくなっちゃったんだねと笑うと、ユウジ君は顔を覆っていた手をどけて、驚いた顔で私を見た。

その顔は見る見る真っ赤に染まっていった。

「お、俺かて伊織んこと大好きや、アホ。」

ユウジ君は真っ赤な顔のまま、私の手をとって足を少し速めた。

ユウ君は不器用さんやからな、っていつか小春ちゃんが言ってたっけ。

その不器用さにちょっと振り回されることもあるけど、でも私は、そんな不器用なところも含めてユウジ君が大好きなんだな。

ユウジ君にぎこちなく掴まれた掌をそっと握り返しながら、私はそう思った。


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