「名前お疲れ!」
「あ、キャプテン…お疲れ様です!」


晩ご飯を食べ終わった後、いつも名前はサッカー場に練習をしに来ている。とても頑張り屋な新しい仲間だ。
運動はそんなに得意じゃないみたいなんだけど、でもこれだけ練習をしているんだ。きっとすぐ上手くなるさ。



「少し休んだら?休むことも大切だよ」
「でも…私まだ全然、みなさんに追い付けてなくて…もっと練習しないと」
「休むのも練習のうち、無理して体を壊したら大変だよ?」
「それも…そうですね。じゃあ少しだけ休憩します」
「うん、はいこれ!スポーツドリンクとタオルだよ!」
「うわあ、ありがとうございます!」


俺が渡したドリンクを喉を鳴らして飲む名前を見て、自然と笑顔になる。そういえば、名前ってどこの中学なんだっけ?…俺、この子の事何も知らないな。

「ねえ名前、君ってどこの中学校だっけ?」
「ええっと…私は白恋ですよ」
「白恋か〜遠いね」
「うん。…遠い」
「…名前?」


少しだけ、名前が悲しそうに笑った気がしたので彼女の名前を呼ぶと、名前は俺の方を見て困ったように笑った。その表情はとても儚くて、俺は言葉に詰まってしまった。


「ちょっと、ホームシックなのかなって」
「そう、なんだ…」
「うん…そうです。そうなんです」


名前はそう言いながら何度か頷くと、立ち上がって大きく伸びをした。そしてサッカーボールを持って俺に向かって手を振った。


「キャプテン!ドリブル、練習したんですよ!見ててくださいね!」
「あ、うん、わかったよ!!」


名前が披露してくれたドリブルは、最後に見たときよりほんの少しだけ、上手くなっていた。




20130603

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