ネオジェネシス計画…エイリア学園、プロミネンスとダイヤモンドダストの混合チーム。
雷門を潰し、グラン率いるガイアよりもジェネシスにふさわしいと、あのお方に認めてもらうために立ちあがった。
率いるは両チームキャプテンのバーンとガゼル、そして数日前にエイリアに戻ってきた潤。彼らは綿密に計画を立て、そしてそれを実行する手前まできていた。


「潤、調子はどうだい?」
「ああ、大丈夫。さっき研究員にみてもらったんだけど、回復に向かっているらしい」
「…無理はするなよ」
「分かってるよ、バーン」
「ところで潤、私から提案があるのだが。私たちのような宇宙人としての名前を持っていた方が良いと思うのだが」
「そうだね、私一人普通の名前だと浮いてしまうしな…。…何か良い案はあるか?」
「カーネルという名はどうだい?」
「カーネル…核、か…。そんな大層な名前を貰っていいの?」
「当たり前だよ、潤は私たちの中心ともいえる。君がいてこその私たちだ。カーネルという名前は君にふさわしいよ」
「ガゼル…ありがとう」


ガゼルと潤…カーネルが話している間、バーンはあることを考えていた。そのある事とは、雷門イレブンとカーネルが対峙して、果たしてどうなるか、ということだ。
奴らと彼女が会ってしまったら、潤はあの不要な記憶のことで苦しんでしまうかもしれない。それにきっと雷門イレブンの奴らは潤に対して過剰な接触をはかってくるだろう。だが彼女の体のことを考えると、記憶修正装置はもう使えない。……。


「おい、…カーネル」
「何?」
「……お前、どこもいくなよ」
「?ああ、もちろんだよ」


幼いころに返された返事とは違うものに、少しだけ不安を感じてしまう。
その不安を振り払うかのようにバーンは頭を掻き、それからカーネルとガゼルを見た。




「行くぞ」
















帝国での練習試合、円堂さんは土門さんと鬼道さんとデスゾーンの、そして俺はムゲン・ザ・ハンドを自分のものにするため必死でボールを追っていた。
練習試合の結果、円堂さんたちのデスゾーン2が完成し、帝国の人たちと喜びを分かち合っていた時だった。

空からボールが落ちてきて、帝国学園のフィールドに突き刺さる。…これは!
辺りを包む煙に邪魔されながらも、目を凝らすとボールが落ちた付近に二つの影が見えた。
一人は、沖縄で潤先輩の首を絞めたバーン。もう一人は…何度か言い合いになったガゼル。


「我らはカオス!猛き炎プロミネンス、深淵なる冷気ダイヤモンドダストが融合した最強のチーム!我らカオスの挑戦をうけよ!宇宙最強が誰なのか、証明しよう!」
「お前たち…!」
「試合は2日後だ。それまでせいぜい足掻くといいさ」
「待て、それに勝ったら本田を返してもらえるんだな?」
「返す?お前は何を言っているんだ、彼女は最初から我々の仲間だ」
「…お前たちと本田は、一体どういう関係なんだ」
「愚問だな、お前たちをぶっ潰す仲間だよ!…ちょうどいい、カーネル。挨拶してやれ」


鬼道さんがエイリア学園に潤先輩のことで詰め寄ると、バーンが馬鹿にしたような顔で俺たちにそう言い放ち、それからカオスのメンバーを振り返る。そして誰かの名前を呼んだ。
カオスの面々の後ろから出てきたのは、出てきたのは…



「雷門イレブンの皆さん、はじめまして」


……!!


「私の名はカーネル。プロミネンスのメンバーであり、カオスの一員だ」



俺は、声を出すことができなかった。



「この前ダイヤモンドダストと君たちの試合を見させてもらったよ、とてもいい試合だった」



なんで、なんで…頭の中でまわる言葉



「だけど、私は容赦はしない。君たちに勝って必ずジェネシスの座を勝ち取る!」




…確かに、潤先輩だった。
まるで俺たちとは初対面のように振舞い、そしてバーンとガゼルの間に立った。その時に、先輩の顔がハッキリと見える。

そこで、俺はまた驚くことになってしまった。
潤先輩はいつも前髪で左目を隠していた。だが今はそれが左右に分けられていて、俺も見たことがなかった先輩の左目がハッキリと見えた。
…先輩の、左目は……


真っ暗な、闇のような色だった。


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