不思議な、感覚だ。


私は知らない場所にいる。

知らない人たちと一緒に、こじんまりとした通りを歩いている。

みんな、仲がよさそうだ。

一人、私の後ろをずっとついて来る子がいた。

その子は笑顔で、私も笑顔で。



ねえ、君はだれ?

















「っ…!、はあ…はぁ…」

今の夢は何だ…?わけが分からない。知らない場所で、知らない人たちと一緒に笑いあっていた。少しかすれた声の男の子が、私の後をついてきて、私を呼ぶんだ。




「潤、…先輩?」

分からない。私は知らない。…っ、頭が混乱している。…状況を整理してみよう。
…私が今いる場所は、エイリア学園の総本山。そして先ほどまでネロと話をして、それからバーンに呼ばれて部屋に戻って、シャワーを浴びて寝た。…ということは、やはり今のは夢だ。…それにしては、やけに現実味があったけど。

彼らは誰なんだ?私の妄想の中の人物か?…。分からないことを考えても仕方ない。


ふうっと溜息をついて、私はプロミネンスのユニフォームに袖を通した。




「潤、起きたかい?」

着替えて、メイドが運んできた朝食を摂っている時に、グランが入ってきた。今日は珍しく私服だ。


「おはようグラン」
「ふふっ、おはよう。…そうだ、今日は少し遠出をするからジャージを着ておいてね」
「どこへ行くの?」
「雷門とガゼルたちが試合をするんだよ。ガゼルは朝からやる気満々でね、楽しみだろう?」
「そうだね、試合を観るのは久しぶりだから楽しみだよ。他に誰が行くんだ?」
「バーンと俺だけだよ」
「そうか…。…雷門の人に会うのは初めてだから、結構楽しみだな」
「……まあ、直接会えるわけじゃないんだけどね」
「私もいつか試合をする時が来るんだろうな…。そのときの勉強でもしておくか」
「ふふっ…。じゃあ、10時にエントランスに集合ね」
「ああ、分かった。ありがとうグラン」



雷門との試合。
映像で見たけど、やつらは試合の中で大きく成長をする未知のチームだ。実力は計り知れない。
マスターランクであるダイヤモンドダストとどれほど渡り合えるか…今から楽しみだね。






「雷門はすごいっ…!…、潤先輩…俺、ゴールキーパーやってみたいです!」



「!?」



「毎日遅くまで、頑張ってるね」
「はいっ!俺、早く先輩の後ろに立ってゴールを守りたいんです!」



「これ、は…」




「頑張る後輩にプレゼント」
「うわあ、これ…手作りですか?」




「っ、ううっ…」




「潤先輩、いなくならないでくださいっ!」
「大丈夫、いなくなったりなんかしない。大丈夫だよ」





「な、んなの…これっ…!」
















「もう少し、強めに洗脳する必要があるな」


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