ガチリと視線が絡み合った。それだけで、潤の身体は硬直した。
金色の瞳で睨みつけられる。普段は、睨まれただけでは怯まない潤だったが、違う…何だか、違う。
得体の知れない感覚が、胸の奥から湧き上がってくる。

動けない…なんで…?


何も反応しない潤を不思議に思ってか、立向居が声をかけるが…答えることが出来なかった。

「本田、今からコイツのテストをするんだ!あ、コイツは…」

円堂が彼の名前を言う前に、赤い髪の少年はドスドスと潤のもとへ向かってきた。…!!


「テメェ!よくも俺を裏切りやがったなっ!」
「え…あ…」
「しらばっくれんじゃねえよ!潤!」
「え、な、何で名前…」
「ふざけんなっ!」

少年が潤の首を掴んだところで、隣にいた立向居が慌てて少年と潤を引き離そうとするが、少年の力が強すぎてビクともしない。
ぎりりと潤の首が締め付けられる。

「うっ、あ…」
「止めてくださいっ!」
「南雲!何をするんだ!」

ナグモ…?
どこかで聞いた事のある、その名前。すると、いきなり少年目掛けてサッカーボールが飛んできた。ぶつかる寸前でそれを避けた南雲と呼ばれた少年は、チッと舌打ちして潤たちから距離をとった。

地面に崩れ落ちる潤のもとに、雷門のみんなが駆け寄ってくる。

「大丈夫か?」
「はっ…はあ、う、うん…何とか…」
「大丈夫だったかい、潤」
「…え…」

急に視界に影が差す。見上げると、陽花戸で会話をした赤い髪の宇宙人が立っていた。…また、名前を呼ばれた。…私は、こいつを…知らないのに。


「首を絞めるなんて、やりすぎだ。バーン」
「チッ、邪魔すんじゃねえよグラン」
「ごめん、潤…。君は何も知らないのに、こんな目に遭わせてしまって」

グランと呼ばれた少年が、潤の頬をスルリと撫でる。彼の手は恐ろしく冷たかった。
すると、グランと潤の間に立向居が入り込み、潤を庇うように抱きしめる。

「近づかないでくださいっ!」
「…君は、潤のことを何も知らないのに、そうやってナイト気取りかい?」
「え…」
「ふふっ、まあいいや。潤、早く取り戻してね。…バーン、帰るぞ」
「チッ」

グランにバーンが近づくと、眩しい光が辺りを包み込んだ。彼らがいなくなる寸前、バーンにジロリと睨まれたのを潤は見た。
すると、いきなり痛み出す頭。


「うっ、うあああっ」
「潤先輩っ!?どうしたんですか?」
「あ、いや…だ、あああっ、ああ、あ…」
「どうしたんだ本田!」
「先輩、先輩っ!」

そこで、私は意識を手放した。











「おにいちゃ…もう、だめだよ…」
「だめだ!潤!」
「おなかすいたし、きもちわるいし…もう、」
「泣いちゃ、だめ、おれも、がんばるから、潤も…」
「いたぞ!」

小さな部屋で二人きり。お兄ちゃんと私は二人きり。
お腹もすいて、気持ちも悪くて、もう駄目だった。全てを手放そうとしたその時、家のドアが開いたの。

たくさんの男の人が駆け込んできて、私とお兄ちゃんを施設へ連れていった。
そこで、たくさんの子供たちに紹介されて、私たちの家族が増えた、お腹もいっぱいになった、気持ちもよくなった。


たくさんの子とお友達になったけど、私の一番はどんな時もお兄ちゃんだった。
お兄ちゃんとは何でも分かり合えるの。
たまに喧嘩しちゃうけど、とても仲が良い兄妹なんだ。


お兄ちゃん、大好き。


20130527 修正
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