キャラバンは沖縄へ到着した。
すぐにみんなは、豪炎…なんとか君を探すために、街へと繰り出して行った。一方、潤は付き添いの立向居と二人、キャラバンに残ることになった。

「一日寝たら、結構体調もよくなったのにな…」
「無理は禁物ですよ!拗らせてしまったら大変ですし…!」
「そっか…」

キャラバンの窓を開けて、沖縄の空気を直接肌で感じる。
座席を倒してそこに寝転ぶと、気持ちのいい風が吹いてきて、潤の髪を揺らす。…前髪が上がらないように軽く手で押さえると、立向居がわあ…と声を漏らした。…?

「?どうしたの…?」
「え…いえ、その…何だか、綺麗だなって…」
「…へ?」
「い、いや!あの、その…!な、何でもありま、せん…」
「っくく、褒めてくれたんだね。ありがとう、立向居」

起き上がり、立向居の頭を優しく撫でるとニコリと微笑む立向居。
それにしても…今頃みんな沖縄の街を楽しんでいるんだろうな。豪なんとか君を探すという名の沖縄観光ってやつ。立向居はみんなと合流して楽しむべきだよね…。でも自分に遠慮して傍にいてくれている…ううーん、だったら。

「立向居、少しだけ歩かない?」
「え…?だ、駄目ですよ!先輩、病み上がりなんですよ!?」
「ちょっとくらい大丈夫だよ。…ね?…ほらさ、陽花戸のみんなにもお土産買わないと、だし。立向居は沖縄はじめて?」
「そうですけど…、でも…」
「大丈夫って本人が言ってるんだから大丈夫なの!ほら、行くよ!」

潤は鞄と立向居の腕を掴む。そして古株さんの「もう大丈夫なのか?」という声に返事をして、キャラバンを降りた。
海沿いの近くの商店街まで歩き、お土産ショップに入る。

「あ、あの…潤先輩…」
「ああ、お金なら大丈夫。私が払うから」
「そうじゃなくて…、あの…手…」
「あ、ずっと握ったままだったね…。ごめんごめん」

パッと放すと、立向居の口から「あ…」っと抜けたような声が聞こえた。ん?

「どうしたの?」
「い、いえ!何でもあ、ありませんっ!」
「…?まあいいや。ねえ、立向居。お土産はお菓子でいいかな?」
「え、あ…いいと、思います」
「そっかー…何がいいかな、色々あるよねー…」
「そ、そうですね…」

とりあえずたくさん入ってる美味しそうなものを選んで、会計を済ませようとレジに向かった時だった。
レジの横に置いてあったストラップコーナーが目に入った。そして、そこにかけてあった綺麗な珊瑚のストラップに目を奪われた。

「うわあ、これ綺麗…」
「え、この珊瑚のストラップですか…?」
「うん、…あ。これペアのやつだね」
「本当ですね…」

手にとって見てみると、赤い珊瑚が光に当たってキラキラと輝く。隣の青い珊瑚も、同じように美しく光った。

「あの、先輩…。もし良かったら、お、俺…買いますので、その…」
「ん?あ、それいいかもね!立向居と私でペアかー…、丁度私の髪の色と立向居の目の色と一緒だしね」
「…え、いいんですか?」
「うん、もちろん。ペアかー…何だか照れちゃうね。あ、でも割り勘ね?」
「っ、はいっ!」

お土産と、ストラップを購入して店を出る。そうだ…せっかくだから携帯に付けようかな…。そう思い携帯を取り出すと、立向居も同じように携帯を取り出しストラップを付ける。

「お揃いだね」
「は、はいっ!俺、嬉しいですっ!」
「あははっ、良かった。あ、そうだ。さっきレジの人に聞いたんだけどね、近くにこの辺り一帯を見渡せる高台があるんだって。せっかくだから言ってみない?」
「で、でも大丈夫なんですか?」
「大丈夫大丈夫。だから、ね?」

再び立向居の腕を引いて、高台までの道を歩いていく。
すると、何だか騒がしい声が聞こえてきた。この声は…円堂?立向居を見ると、「行ってみましょう」と言われたので、走って高台の階段をのぼる。
そして…見知った雷門のメンバーの中に、知らない男の子が一人だけいた。

「ああ、本田と立向居じゃないか!」

円堂が潤たちに気づいて手を振ると、当然皆振り返る。…そして、その見知らぬ男の子も振り返った。


「…っ!」





「ばかやろう!なんでこんなことしたんだよっ!」
「よくねーよっ!しんじゃうかと、おもった、」
「…ばかやろう。おまえが、潤が…いなくなったら、いやだから、なきたくないのに、くそっ」


「いなくならないよ。おにいちゃんのまえから、いなくならないよ。なにがあっても」



赤い髪、金色の瞳…
少年は潤と瓜二つだった。


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