前に進み続ける強さの意味を持つ星と同じ名前の少女は、本来は審神者になるはずだった。
審神者になった少女は、神さえも目を見張る特別な強い力を持っていたにもかかわらず、傲らず怠けず誠実に日々を勤め、数多の付喪神に優しさと愛情を持って接し、強い絆で結ばれた彼らと共に、戦いへと身を投じていたはずだった。



過去を修正し未来を変える《悪》を倒し、正しい歴史を守る《善》として。



付喪神達は少女の強い力を、《まるで花のような力だ》と言った。少女の力にふれると、春に咲く満開の花畑にいるような心地になるのだと。
本来強い力とは鮮烈で、時に畏怖さえ感じさせる。けれど、少女の持つ花ようなあたたかさと優しさが、少女の人格と魂のあり方が、力に優しい色を与えた。


けれど、少女は審神者にはなれなかった。歴史改変の影響を受け、別世界へと飛ばされてしまったからだ。

そして、別世界へと渡った瞬間、少女の審神者の力は、形を変えた。
物の心を励起する技を持つ審神者としての力が、花に関する力へと変化した。
けれど力の本質が変わった訳ではない。力の表現が変わっただけで、中身は変わらない。例えるなら質量保存の法則のようなものだ。



水という液体は、摂氏零度以下の冷たい世界では氷になる。
水という液体は、百度以上の熱い世界では水蒸気へと変化する。
氷や水蒸気になっても水の時と質量は変わらない。
氷も水蒸気も、適温の世界では水に戻る。



審神者としての力は、鬼と鬼殺隊の世界では、花に関する力へと変化した。
付喪神と審神者の世界に戻れば、花に関する力から審神者の力へと戻る。



ただ、それだけの事。


-1:世界によって、変化する


ル戻


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