06


三時間目が始まって五分ぐらいたった所だろうか 。
保健室の扉が開いたと思われたら、赤髪と一人の少女が入ってきた。
彼女は、椎名恵じゃないか!!
小動物みたな可愛らしい子。
なんという巡り合わせ。
保健室にいればこんな事もあるだろうと思っていたけれど、こんなに早くこんあ機会に巡り会わせるなんて。

「どうしたんだい?
 生憎、先生は席をあけているのでね。
 僕でよろしければ対処しようではないか」

ベットから降りて彼らに近づく天才君はあからさまに警戒してきた。
大事な彼女の為に神経を尖らせているんだね。
それは良い事だろうけれどそんなに警戒されると僕も悲しいかな。

「僕の名前は霞ヶ丘 斎。
 やんごとなき事情で今まで学校に来れなかったがようやく保健室登校できるようになったばかりなんだ。
 だから始めて会う同学年の子にそんな態度をされるのはとても悲しい事だ。
 頼むから、警戒をといてくれないかな?
 それにこんな僕でも君の事は知っているよ。
 ボレーの天才君だろう。
 こんな所で君みたいに素晴らしい人に会えて思わず運命って奴に感謝してしまそうだよ。
 ところで天才君。
 彼女はどうしたのかな?」
「え?あ、ああ……。えっと霞ヶ丘、だっけか。シクヨロ!
 俺はこいつ、」
「椎名恵です!霞ヶ丘さん、お友達になってください!」
「そいつは素敵な申し出だね。
 僕が返事する前にとりあえず僕が見た限り椎名さんは怪我をしているから先に治療をしたらどうだい?」
「おっと、そうだった!」

どうやら警戒はとけたようだね。良かった良かった。
消毒液やらなんやらを渡して適当におしゃべりするだけでなんと不思議、二人と仲良くなった!!
斎は知り合い、を手に入れた。
レベルが一、上がった!
なんてね。
おしゃべりの中で椎名さんがいじめられていると言う話をされた。
天才君は完璧に久遠麗菜を黒だと思い込んでいる。
椎名さんはその事を否定している。
その言葉に偽りは感じないけれど演技が上手いだけかもしれないしなんとも言えないね。

「いじめはいけないよね。
 いじめは。
 何も生まれない不毛な行為だ。
 いや、うまれる物はあるか。
 行為の先には結果ができるからね、何かしら。
 それで天才君は」
「あのよ。天才君って連呼されると若干馬鹿にされてる気がするんだけど」
「うん?それは失礼した。
 君はボーレのスペシャリストで天才を自負しているのだろう。
 二つ名がつく事はなんらかの偉業をした人だから僕はその名前で呼ぶ事で最大限の敬意をはらっているつもりなんだ。
 でもたしかに天才君だと青学にも氷帝にもいるから君個人を特定できないな。
 注釈、僕は青学の天才君はトリプルカウンターのルカ君と呼んでいる。
 氷帝は『千の技を持つ男』からかっこ良くフランス語で千、mille、ミル君と呼ぶ」
「結構そのままだね……。
 でもかっこいいかも」
「君はそうだね、スペシャリストか。スペ……気に入らないな。
 最後の二文字は君が短気みたいな感じになってしまうな。
 リス、はもはや他の生き物だ」
「なんで二文字にこだわるんだよぃ」
「物事は統一させるべきだろう。
 ここはもう少しくだけてスー君と呼ばせてもらおう。
 最初の一文字うを伸ばしてという形だね。
 ふふ、こう呼ぶと可愛らしいものではいか。
 閑話休題、スー君は彼女を守っているようだけれども、守るだけでは何も物事の解決にはならないぞ」
「わかってる。
 久遠の野郎が止めないかぎりどうしようもならないからな……。
 それにいつでも守ってられるわけでも」
「いいよ、守ってもらわなくても!それにだから久遠さんは何もやってないよ!!」
「でもそんなに頻繁に怪我をしてたらそうとしかおもえないだろぃ!」
「ふむ、荒れてるね。では、僕に任せてみてはくれはしないだろうか?」

僕の申し出に二人はきょとんとした顔になる。
元々そのために来たのだが恩を売っておくのもいいし僕に任せることで多少は精神的に落ち着きを取り戻すだろう。


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