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後日談。
あれから、狸達によって京子ちゃんは霞ヶ丘から除籍されたらしい。
それで、キングの所に行って。

「あーん?何だお前。つきまとうなメス猫」

で、はい一刀両断!!
いや、あの時の顔は笑ったね。
自分が彼に愛されてないなんて全く思ってなかったんだろう。
思い上がりも甚だしいよ。
しょせんはそこら辺にいる子と変わらないんだ。
どうやら京子ちゃんの中で祭は色々な事情で
無理矢理つきまとわれているのを拒めないんだという解釈をしていたらしい。
どこをどういうふうにフィルターをかけたのか。
少しばかり気になる所だけれど僕には一生わからないだろう。

「ま、そんな感じで祭のストーカーも。
 僕らの事件も、神の子をまきこんだそれも。
 全てこのように解決したわけだ。
 めでたしめでたしと言う訳だ。
 君に調べてもらった事も、こういう事だったのさ。
 協力ありがとう、助かったよ。
 心からお礼を申し上げようではないじゃないか。
 勿論、婚約の話はなくなったがそれで
 それぞれの家の関係性をどうとかはならない。
 むしろどんどん仲良くして行こう。
 僕が家を継いだら、協力体制をしく。
 霞ヶ丘がいくら大きくても向上心は忘れちゃいけないもんね。
 もっと大きくさせてもらうから、覚悟してね」
「お前って奴は本当に忙しねぇな、ラン。
 少しは今を見て話せよ」
「見てるよ?これでもね。
 今は未来に繋がるから疎かになんかしないさ」

記者会見の後……これは僕の婚約式逃亡の開き直りだ。
その後に優雅にキングに祭、それに神の子を交えてのお茶会をしていた。
キングに事の次第を教えてあげるためにね。
ねぇ、と祭が口を挟んだ。

「ねぇ、斎。
 私はもう大丈夫だから……。
 景吾君がいるから大丈夫だよ。
 だから、もう罪の意識を感じてそんな事しなくてもいいんだよ?」
「別に、祭の為じゃないさ」

拗ねたような口調になってしまったがこれは僕のエゴなんだしね。
祭の為なんて偉そうな事はいえないよ。

「だって斎の一人称は」
「罪悪感。そしてプライドだ」
「違う。私が、逃げたから。
 僕が逃げたからなんだよ、斎。
 その一人称も口調も。
 私の代わりに一時期入れ替わったせい」
「どういう事?」
「それは」
「説明しなくてもいいよ」

人には聞かれたくない事って物がある。
それが僕にとってのこれなのさ。
聞かないで欲しいし、というか考えたくもないというか。

「けじめをつけよう、いい加減。
 ううん。違う。
 つけるのは私だけだけど。
 斎。私がそう望んでる。だから」
「あー!あー!あー!解った!好きにすれば!?」
「ありがとう。えっと、じゃあ説明するね。
 私がいじめられてた代わりに斎がいじめられてくれたんだよ」
「……終わりか、あーん?」
「うん」
「相変わらず説明べただよね、祭。
 しょうがないから僕が説明するよ。
 ぼろぼろになった祭に僕が変装して祭の代わりにいじめられ。
 祭を僕の格好をさせ、僕の口調にしてそれで僕の生活をしていてもらったんだ。
 双子。
 しかも一卵性だからね。
 それぐらい可能だよ。
 いじめがすぐ終わるわけではないし。
 それに祭にきちんとした暖かい所にいてもらう為に」


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