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「さてはて、それをできるのは一体だれだろうね?
 周りの人に情報を植え付けられる人は。
 因みに情報提供と言うのは持ちつ持たれつだ。
 貰った分、与えなければ情報は相手もくれない。
 ギブアンドテイクだね。
 ありえるのはファンクラブ。
 しかしこれはあり得ないよね。
 何でか。
 だってこのクラブ的にそんな動きできないよね。
 一人の為には動かない。
 ましては神の子と仲を公認させようと言う動きはね。
 じゃあ、新聞部はどうだろう。
 あくまで可能性の一つとして情報提供者にイジメについてを伝えられる。
 それを新聞にすれば周りもそうだと勘違いする。
 そういう動きを作り出す事は可能だ。
 人の動きも、ちょいとした時に、教えてあげればいい。
 新聞部なんだから、おかしくないよね。
 本人が動かないのは興味がないと言い張っているから」
「それ、私がやってると言ってるのかな?」
「そう聞こえなかったのかな?
 僕はそういってるんだよ、新聞部部長、鈴木京子さん?」
「あくまで可能性の話でしょ?
 私だけだとは、言えないよね。
 そのファンクラブだって大きな組織なんだから。
 決して一枚岩ではないから影でそんな動きがあっても可笑しくはないよ。
 その子が幸村君以外の子が好きで。
 でその誰かが久遠さんが好きならあり得なくもない」
「可能性としては否定はしないよ。
 けれどね。やっぱり無理なんだ。
 椎名さんがマネをやってこれた理由はさ。
 ファンクラブはあくまでテニス部の為。
 今までのマネがいじめられてたのは相応しくなかったから。
 ファンクラブの認められている彼女。
 椎名さんの事はファンクラブの手で守られるのさ。
 そしてファンクラブの掟を破った人はそれもはもう大変な目にあう。
 それは鈴木さんも知っているはずだよね。
 だからいくら久遠さんを嫌っていてもその手は危険を犯してまで。
 選べる手段じゃないんだよ」
「かならずしも恋愛感情が伴っているはずがないじゃない。
 大きな財閥なんだから、そういう関係で」
「墓穴を掘ったね。
 失礼だけど、君の事、調べさせてもらった。
 鈴木。
 まぁ、ぱっとしない名字だけど、それは偽名だ。
 本当の名字は霞ヶ丘。
 霞ヶ丘京子だ。末端は末端だけれどね。
 偽名はその名字を使えばいくらでも可能だよ。
 僕の事はふだん表には出ていない。
 写真を見た?
 馬鹿言ってんじゃないよ。
 あるわけないだろ。
 クラス写真や出席簿にもないのに。
 それだったら他の生徒だって知ってる子はいるはずだよ。
 しかしそれでも君なら僕の事を知れるよね。
 他校との繋がりを持っていない……それも疑わしいけれど。
 それでもキングと知合える可能性もあるわけだ。
 祭に、ストーカーしているのも君だ。
 調べて裏は出ているのさ。
 今回の犯人は君だよ、霞ヶ丘京子さん。
 僕は霞ヶ丘を対して好いてないけど同じ名字を持つのに残念だった、とだけ言わせてもらおうか」



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