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「さて、皆さん、お集り下さってありがとう」

僕は全員の顔を見渡しながら言う。
生徒会室にいるのはテニス部のみんな。
嵐に二人。
ファンクラブ会長の近藤美香。
それから新聞部部長、鈴木京子。
それが今回の舞台に参加者にして被害者の皆様だ。

「いったい、何をなさろうとしていますの?
 霞ヶ丘様のあの演説はすばらしかったように思えますけれども」
「本当に?本当に本当に本当に、そう思うのかな?美香ちゃん?」
「それは……わずかばかりは、思いますけれども。
 けれどそれがなんだかは解りかねません。
 ですから微々たる事かと」
「ふふふ、微々事ね。
 あのさぁ。思わないの?
 なんで椎名さんが転んだ時に、タイミング良く彼女の事をいじめたと勘違いした子達が来るのか。
 おかしいだろ。悲鳴をあげたわけでもないのにだよ?
 それに椎名さんが転びやすいと知っていながらあんなに勘違いを起こすと思うのかい?
 多いから?確かに多い。
 でもここも可笑しい。
 なんで転びやすい彼女は普段注意しているはずなんだ。
 ましてはこんな事になっていればなおさら。
 でも彼女は転ぶ。
 ますます転ぶ。
 そう。
 そこに何らかの人為を感じざるを得ないぐらい用意周到さを感じざるを得ないんだよね。
 それに久遠さんはこう証言している。
 彼女と会い、怪我する時。
 何か物を運ぶのを手伝わされたり、掃除の時。
 だいたい事前に予想できる物だ。
 日直とか、規則性をもって指名されるし、必ず、全部を把握しなくてもいいんだから。
 現に久遠さんから自ら椎名さんに会った時には何もおきなかったらしいしね。
 だから僕はこの一連の事件についてこう考える。
 『何者か』が久遠さんがいじめていると勘違いさせ。
 それでかつ椎名さんを転ばすように細工する。
 これは一度実験ずみだ。
 参謀と共にね。
 簡単に、成功したよ」

黒豆君の時とスー君達の時にね。
あれは実はいうと恣意的にやったんだ。
周りの勘違いしている人を導くのも、簡単だった。

「あの。なんで私も?」

僕の発言で静まり返った中。
新聞部部長、鈴木京子が挙手した。

「近藤美香なら、わかります。
 情報提供者ですから。
 でも私は違う。
 一回きりでしかも解りきった事。
 たいして霞ヶ丘さんとも、たいして仲がよくない。
 なんで私もこの場に呼んだの?」
「それは君が一番よくわかってると思うけれどね。
 名目を唱えると、だ。
 君は新聞部。
 多くの情報網を持っている。
 そして生徒間にも多くの影響力を持つ。
 だから後々の事件の回収および結果を新聞にして欲しいなぁと。
 ココでの事を書くかはどうかは、まかせるよ。
 書かないと思うけれどね。
 断るとか言うなよ。君にその権利はないんだから」
「…………」
「さてここで話を変えようか。
 僕にとって、とても身近な話を。
 皆すでに知っていると思うが僕と神の子とは恋人だ。
 しかしキングとの婚約があった。
 それに対して僕らはあの婚約パーティーで暴挙に出た。
 まったく関係のない話ではあるんだけどそれがどっこい見方を変えると、また違った見解がてでくる。
 仮に、僕とキングの婚約をよく思ってない人がいよう。
 まぁ大きな企業になると色々な思惑があるけれど仮にキングに恋心を持っていたと仮定しよう。
 当然、婚約なんて面白くない。
 しかもそいつには他に恋人がいるらしいではないか!
 邪魔な奴だ。
 では、こいつと神の子との仲を周りに認識させればいいのではないか。
 しかしこいつは引きこもり。
 どうやって表に立たせよう。
 そこで思いついたのが今回の事件。
 椎名さんはマネだから、丁度いい。
 久遠さんだったのは立ち位置が丁度良かっただけで別に誰でも構わなかった。
 これでテニ部を巻き込んだ事件を起こせば仲間思いの神の子はどうにかしようとして……僕を。
 即ち憎い恋敵を表舞台に立たせる事ができると思ったんだ。
 成る程、その思惑は上手に成功したみたいだね。
 しかしこの僕のスペックは想像外だったみたいだけれどね」


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