02


「こうしてわざわざ僕の所に訪ねてくれて感動の極みだよ。
 この感動を伝えるには僕のボキャが足りないのだけど、君達ならばわかってくれると信じているよ。
 それと神の子が僕の事は説明してると思う。
 それでもここは礼儀として自己紹介をしておこう。
 僕の名前は霞ヶ丘 斎。
 気軽に斎様と呼んでくれたまえ!
 ……冗談だよ。
 好きに呼んでくれて一向に構わない。
 あぁ、君達の自己紹介はいらないからね。
 参謀に詐欺師に紳士。
 そうそうたる面々だね。
 お会いできて嬉しいよ。
 以後よろしく、末永いお付き合いをってね!
 さて、まさか友達を僕に紹介する為だけに来たのわけでもなかろう。
 いやいや無論それでも構わないけれど、一応尋ねておこうではないか。
 一体神の子はお友達までつれて僕に何を頼みたいのかな?」

僕のお喋りに戸惑った様子の三人。
神の子は僕がとてつもなくお喋りなのは言わなかったのだろうか。
僕は世間一般から言えば引きこもりだけれど人恋しい性格なのだ。
こうやって人と話すとついついテンションが急上昇していけないな。

「相変わらずのようで良かったよ」
「ふふ、神の子も相変わらずのようで何よりもだ。
 何事も健康であるのは大切だからね。
 健康な体こそ何より勝る資本だと僕はそう思っているんだ。
 それに子供と言うのは元気じゃなきゃいけない。
 大人しい子供と言うのはなる程、確かに扱いやすいかもしれない。
 けれど馬鹿であろうとも外で遊びまわる子供と言うのはなんとも愛らしい事だろう。
 馬鹿であっても元気ならそれでいい……世間の母親はそう思うのだ。
 なんとも美しい母性愛じゃないか!」
「悪いけど今日はお喋りに来たわけじゃないんだ。
 さっさと本題に入りたいけど、いいね」
「おっと、失礼。
 こちらから訪ねておいてお喋りをしてしまえば本末転倒って言う物だ。
 いいよ、本題は何だい、神の子よ」

ソーファーに移動して僕と彼らは向き合うようにして座る。
神の子は麗しい笑顔を浮かべたまま、厳かに口を開いた。

神の子の話しを纏めると、今、立海ではイジメが起きているらしい。
イジメられている子は椎名恵と言う同い年の女子。
理由はまたまた同い年の久遠麗菜。
男テニのマネでもあるそう。
その子の事を椎名さんがいじめたから。
随分とまぁ、愛されているなぁと思う。
神の子自身はイジメについてはどうでもいいらしいのだけれど問題はあるそう。
テニス部の一部の仲間達が久遠さんの事をかばっていて今にも椎名さんに喰ってかかりそうらしいのだ。
イジメに関しては神の子と参謀、紳士に詐欺師は傍観と言う立場をとってる。
皇帝は中立。
天才君、エース君に、黒豆は久遠を守っている。
見事にばらばらだ。

「……ふむ、状況は飲み込めたよ。
 神の子は相変わらず仲間思いだよね。いいだろう。
 その為には学校に行く必用があるけど友の為。
 こんな引きこもりでよければ幾らでも力を貸そうじゃないか。
 神の子の依頼を全力で引き受けよう。
 全て神の子の御心のままにって言うと宗教的な物を感じるね。
 しかしそもそも神と言う存在を肯定している時点で宗教的であるのだけど。
 因みに僕は無宗教だ。
 極々普通の日本人と同じようなね。
 だからクリスマスだって祝うし初詣にだって行く。
 ではでは、明日からさっそく動くとするよ」
「助かる」
「いやいや、気にする必用はないよ。君と僕の仲だろう?
 僕は学校だと保健室登校と言う形になるだろうから、そこを拠点とするとしようかな。
 だから僕に用があるなら保健室に来るといい。
 絶対にいるとは言いかねないけれどね。
 それから僕は不登校の引きこもりだから学校の事に不慣れだ。
 何かと君達にも協力して貰いたいけどいいかな?」
「いいよ。そこの三人もこき使ってくれ」
「依頼したのはこちらからだからな」

色好い返事を貰えて良かった。
立場によってはそう言う活動ができないと言われる可能性も考えられなくもなかったのだ。


戻る
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -