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「本当に、ただの勘違いだったって事、か」
「うん。そうだね。
 君達も思う所もあるかもしれないけれどそれが真実だよ。
 後悔しているかい?
 あ、いや、愚問だったか。
 けれどこれで一つ学べて良かったじゃないか。
 痛みの無い教訓じゃないと身にしみないだろう?
 人間はそういう生き物なんだから。
 それに僕達はまだ若い。
 まだやり直しもできるし、二度と同じ間違いをしなくてすむ。
 これが大人になったら裁判所行きだからね。
 法律は子供に関して寛容なんだから。
 いや、法律だけではなく、だけれど。
 世界は愚か者に優しいのだからさ。
 余計な事を覚えるから苦しむのだから。
 けれど、それもまた人間の愛すべき所なのさ。
 進化を止めてしまった者に生きる意味なんてないよ。
 さて、これから君達がする事は一つ。
 久遠さんにも、椎名さんにも謝る事だ。
 謝って過去は改ざんできないけれど。
 やった罪は無くならないけれど
 それしかやる事はないのだから。
 許してもらおうとしてはいけないよ。
 それは彼女達が決める事さ。
 ね?
 …………久遠さん、椎名さん?」

シャッと、ベットのカーテンを開けて二人が現れた。
スー君達が唖然としている中で、意外な事にエース君が一番最初に行動を起こした。

「すいませんでした!!」

おお、土下座。
それから、スー君、黒豆君も倣う。

「だって、さ。どうするの?」
「私は、解ってくれたからそれで……」
「私は許さないわよ」

毅然とした態度で久遠さんはそう言った。
まぁ、彼女なら当然な態度だよね。

「許さない。散々殴られてはい、それで謝れて終わり?
 馬鹿じゃない?
 そんな事で許してあげる程、私、優しくないの」
「じゃぁ、どうしたらいいんだよぃ」
「奴隷」
「え?」
「私のパシリになりなさい。
 それで私の気が許せたら、終わらせてあげる」

それだけ言って帰ってしまった。

「斎、お疲れさま」
「部長!?」
「どういう事だよ」
「どうもこうも。
 僕に事件の解決を依頼をしたのは神の子なんだからさ。
 ふふふふ、因に彼の彼女だからシクヨロ!」
「え!?つーか俺の台詞!!」
「いいじゃないか。天才的だったろぃ?」
「それは言っちゃだめだ!」
「あはははははは!!!」

いや、しかし久遠さんもお優しいね。
許さない事も一種の優しさだから。
そうすれば、罪悪感も減るだろう?
無意識の内にそれを選択する彼女もよっぽどだ。
よしよし、ではでは。
僕のこの事件も終わりにしなければいけないようだ。
寂しいけれど。
けれど正式に立海の生徒になったのだからこれからも彼らと楽しませてもらおうじゃないか。

「霞ヶ丘、準備できたぜよ」
「お、お疲れ様。じゃあ、行こうか」
「行くって?」
「決まってるだろう?」

講堂さ。

まだ事の真相を知らない人に教えてあげる仕事をしなきゃ。



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