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久遠さんの風邪が治ったらしい。
僕らの看病のおかげだね!
だから僕もそろそろこの下らない物語にも終止符を打とうと思う。
この話も、残るは解決編、謎解きのみにしよう。
まずそれにあたって今まではやってこなかったスー君達に真実を教えようではないか。
だいぶ彼らも気付いてきた事ではあるしここで何かしても契約違反にはならないだろう。
神の子は言ってなかったけれどさ。
彼らが真実を知るだけでは足りないよね、圧倒的に。
だってそうだろう?
神の子達は助けようとしていなかったんだから。
そこで仲が悪くなるなんて事にもなりかねないのだから。
そうしたら契約違反だ。
だから僕は解決しなければならない。
この事件を完璧に付け入る隙すらも与えないぐらいに、さ。
神の子は何も言わなかったけれど……きっとわかって言ってない。
全く楽しすぎるよ。
ふふふ。
さて、そろそろかな。
スー君達が僕の罠に引っかかって僕の所に来てくれるのはさ。
終わりは始まり。
始まりは終わり。
彼らを迎え入れる為のセリフはこれしかないだろう。
騒々しく彼らが扉を開けたのを見てから、鷹揚に微笑んでみせた。
「やあ、よく来たね。
君達が来るのを心待ちにしてたよ。
こうしてわざわざ僕の所に訪ねてくれて感動の極みだよ。
この感動を伝えるには僕のボキャが足りないのだけど君達ならばわかってくれると信じているよ」
さあさあさあ!
楽しい時間の始まりだ。
厳しい顔をした彼らと真逆な僕の気持ちに僕はますます愉快な気持ちになってしまった。
「おい、霞ヶ丘」
「何かな、スー君」
「お前、知ってたのか?」
「うん、知ってたね」
僕の答えを聞くや否や、僕に掴み掛かって来た。
やれやれ、そんな事をしていいのかな?
しかしこんな所で暴れられてもしょうがない。
目線だけで隠れている神の子を制す。
「なんで隠してた!」
「何で?何で何で何で!!
アハハ!なんとも滑稽な質問だね。
それを僕に聞くのかい?
僕は始めに言ったはずだよね。
僕はこの事件を解決する。
そして君達にはこれも言ったよ。
中立の立場にいるよ、と。
だから全てを教えるわけがないんだろう。
当たり前だ。
それに僕が今までの君達に事実を言った所で信じてないよね。
そう、信じない。
これが答えだよ。
感情的になる前に考えたらどうかい?
仲間思いなのも結構だけどさ。
結構だけれど、冷静にならないと見えるものも見えない。
目が曇っているうちは何も見えなくなってしまう。
僕達には冷静になれる事ができる生き物なんだから、ね。
だからその手を放して、座って話し合おうではないか。
知的な所を僕に見せてくれ。
ふふふふ、ありがとう。
さて、それでは君達の質問に答えようではないか。
それこそ嘘偽り無くね。
君達が気づいたならば嘘をつく必要なんかどこにもないのだから。
さて、何を聞きたいのかな?」
あっさりとした僕の対応に毒気を抜かされた顔をされてしまった。
ひどいよね。
僕が君達をあえて嵌めたんだから落ち着いているに決まってるではないか。
あぁ、因にだけれどやったのは黒豆君とほとんど変わらない。
ただもっと解りやすくしたけれど、色々と。
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