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「まぁ、ふざけるのもココまでにして。
 僕らが来たのは賢い久遠さんはある程度予想はついているだろうけれどそれでもあえて言わせてもらおう。
 うん。
 例のいじめの件なんだよ。
 全体の話は読めて来ている。
 解決編もすぐそこだ。
 そして久遠さんにはいくつかの質問をさせてもらいたくてね。
 いいよね?
 よし、ありがとう。
 まず久遠さん。
 君が椎名さんと出会う時どういう時に出会う?
 まず、呼び出し。
 椎名さんに?
 そう。それから何か物を運ぶのを手伝わされたり、掃除の時。
 そっか。久遠さんから、椎名さんに会った事は?
 ない?一度も?
 一回。へぇ……。
 その時は何かあったりはしたのかな。
 ない。それは良かった。
 うんうん。
 なかなかいい感じじゃないか。
 久遠さんは椎名さんに何かこの件の前に何か関わりでもあった事はある?
 これもないか。
 確かに君らしいよね。
 あぁ、あとそれから」
「ちょっと待って。何をしたいの」
「何って確認だよ。
 僕はこのいじめを解決したい。
 言わなかったけ?
 その為にはみんなを納得させなきゃいけないわけだしね。
 でもそうだね。うん。
 風邪をひいているわけだしあまり質問攻めにしても悪いしこれで最後にしておこうか。
 君と久遠さんの出会う所。
 イコール彼女が怪我する所。
 校舎裏、階段、昇降口、テニスコート付近、体育館。
 それで合ってる?」
「え、ええ」
「うん。ありがとう。じゃあお大事にね」

これがわかったら別に久遠さんには用事はないや。
さっさと退散させてもらおう。

一体、なんなんだ。
と久遠さんの家を出た途端に紳士君に訪ねられた。

「質問だけしてさっさと帰るなんて。
 それに質問の内容だって、今更な事じゃないですか。
 それをなぜわざわざ聞きに行ったのですか?」
「紳士君、推理小説の常套手段。
 怪しい行動は当たり前のように書かれているでしょ?
 ようするにあたりまえだと思ってるからスルーする。
 そしてそれを利用された時に僕らは驚く。
 普通!当たり前な事って事だけどそれがいかに怖いか!!
 時に原点の当たり前の事を振り返ってこそ気づく事もある。
 そういう事だよ。
 それに僕は君達の報告が全て正しいとは思ってないんだよね。
 悪いけれど。
 だってそうだろ?
 君達が知ってる事が全てならとっくに事件は解決してるって。
 あげくに僕を神の子は引きずり出した。
 知ってる?
 僕ってチートなんだよね。
 最終手段も最終手段。
 どこか可笑しくなってしまう。
 『歩く混沌』なんだから、僕は。
 事は強制的に解決して行く。
 片っ端から矛盾を合理的にしていくのがこの僕さ。
 混沌に秩序を。
 コスモスにカオスを、だ。
 けれど僕が動くような事は総じて狂ってるのさ。
 だからこの事件も狂ってる。
 本来的に僕は表にはでるべき人間ではないの。
 僕の出番なんかない舞台であったほうがいい。
 無論、僕は楽しませてもらってるよ?
 楽しむ、が僕の第一行動原理なんだから。
 何、狂ってると言っても僕に依頼をした側には不幸は行かないさ。
 台風の目と同じでね。
 周りの人はどうかは知らないけれど。
 一度、廃人になった事もあったな、そういえば。
 だからさ、神の子を信じて。
 僕の能力を見て上手くいくなんてそんな甘い考えは捨ててなよ。
 みんなが幸せになるそんなおめでたい物語ではないのさ。
 僕はそれを高みの見物、そうだね。
 王様気分で玉座にでも座って見ているだけ」

いじりまわして、はい放置さ、と続けた。


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