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あぁ、この温かな大地に僕は別れを告げなければいけないのだろうか。
神々に祝福されしこの母なる大地。
そっと包み込む母親の包容から。
甘美な夢から醒めて。
寒く辛い場所に追い出される。
この絶望を表す術を僕はしらない。
ああ
僕の……
僕の…………

「フトーーーーーーーーン!!!!」
「フトーン!じゃないからね。
 斎が言い出したんだからね。
 お見舞い。
 なのに何布団に包まってるの?
 どうせ寝れないくせに」
「それをいっちゃあ、駄目だよ神の子よ。
 ただ風邪を引いてる彼女の気分を味わうた」
「いいから行くよ」
「あぁ、僕の台詞を遮らないでくれよ!
 そろそろいちいち長い台詞を考えるが神様もとい僕の脳がめんどくさくなってるとか。
 そんな事情ながらも頑張ってるんだからさ。
 遮らないであげてくれよ!
 優しくしてくれないと挫けそう!
 誰か応援宜しく!
 とかしてないといけない所にそうやってやってると僕の台詞がだんだんと短くなってしまうではないか!!
 僕、拗ねるぞ!神様だって拗ねるときは拗ねるんだ!
 あぁ……なんて嘆かわしい事なんだ。
 僕のキャラはこの台詞の長さで立たせて来たのに
 それを失わせるのはとても残酷な事だとは思わなないのかい!?」
「はいはい」

むぅ……今日の神の子は素っ気ないな。
仕方無いか。
神の子は久遠さんの家に行くの面倒だと思ってるみたいだし。
僕がいくからしぶしぶ感が漂うと言うか。
これ以上機嫌を損ねない為にも僕は大人しく家を出た。


「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!!
 皆大好き斎ちゃんデッス!
 キュッピーン!
 はぁい!
 お元気?って元気な分けないか!
 なんたって久遠さんは風邪を引いているのだからね!
 しかし大丈夫!
 なんたって僕が来たからね!
 なんの心配もいらない!
 君はただひたすら大人しく寝ていればいいのだから!!
 ふふふふ、なんだって顔をしているね!
 キャラを立たせるために新しいキャラを成立させようとしているのだ。
 その名も!
 魔女ッ子斎ちゃん!
 不思議系、電波系。
 そして王道の萌え系!!
 それをすべて兼ねそろえている最強のキャラなのさ」
「……霞ヶ丘さんってこんな感じの性格だったけ?
 というか、頭痛い……」
「あぁ、気にしないで、久遠さん。
 今日だけ特別にこんなテンションだから。
 明日には戻るし。
 所で体調はどう?」
「最悪」

眉間に皺を寄せてふらふらと室内に戻って行く久遠さん。
残念。
このキャラは受けなかったか。
しかしあれだよね。
このキャラは不思議キャラと言う時点で詐欺師とかぶってるし、魔法を使えない時点で駄目だ。
やるからにはマジでやんなきゃ!!
ほら、僕だし。
みんなも久遠さんと共に中に入っていく。
常識人である参謀、皇帝、紳士がそれぞれお見舞いの品を手渡している。



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