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「初めまして。
 中にはもうすでに会った人はいるかな?
 霞ヶ丘 斎です。
 以後お見知りおきを。
 今までこの学校に在籍はしていたものの登校ができなかった。
 三年になってから初めましてというのもなんとも申し訳なく思っている。
 これから短い期間と言えども宜しくお願いしてくれると嬉しいな。
 僕は中学に限らずに小学校も中学年あたりですでに学校に通えない状態に陥ってしまった。
 学校自体になにぶん、だいぶ不慣れでみんなには迷惑をかけてしまうだろうだろう。
 宜しくお願い頼むよ。
 さてはて、自己紹介と言っても僕は何を言っていいのかよくわからないんだけれど、どうすればいいのかな?
 好きな物、事でも話せばいいのかな?
 けれど僕は基本的に好き嫌いしない事を心がけているのでそう言う事はなるべく言いたくないんだが。
 好きを選ぶと言う事は嫌いも選ぶと言う事だからね。
 選ぶと言うのはとても残酷な事なのだ。
 無論、僕は好きも嫌いもあるけれどそれは心の中でそっとしまっておくのが大人な対応だと思うのだけれど。
 だから、そうだね。
 今のくだらない人生観というか価値観を挨拶代わりに受け取ってくれたまえ。
 これで僕の性格というのも想像できる事だろうし。
 麗しいクラスメイト達ならそのぐらいわかるだろう。
 だから無駄な質問は受け付けないのでそのつもりで」

にこりと笑って、指定された席、神の子の隣に座った。
本当はイメージ、神の子いわく外見が中身を裏切っている。
中身が外見を裏切っているのとはまた違うらしい。
神の子はこの手の言葉遊びは上手いのだ。
らしいので夢を崩さないように始めは猫をかぶっても良かったのだけれどさ。
しかし紳士君にそんな事はすべきではないと言われたので、偽らない事にしたんだよね。
未だ、不安そうにする神の子にそっと笑いかけた。

なんというか授業を受けると言う行為は大分久しぶりだけれどとてもつまらない。
僕がその範囲の勉強をすでに終えてしまっているのが原因でもあるとは思う。
でもそれ以上に、この一緒の場所で同じように足並みそろえて、はいこの勉強をしましょうねー。
とそう言われるのがなんともうざったらしい。
体調の事もあるけれど僕の性質上でも学校と言う場には不似合いなのかもしれない。
僕がこう思ってしまうのは僕が子供だからだろうか。
ならば、ふむ。
なんとも由々しき事態じゃないか。
そういう事なら黙って、耐える必要はあると思う。
……幸い、教師陣も僕の実力を図るために僕に問題を当てて来たので、おしゃべりを我慢する必要はなくて。
だいぶ助かったのだけれど。
しかし長台詞ができないので生殺し感があるのがだいぶ否めない。

「こうやって神の子達と同じ事ができるなんて今までは全く想像できなかったけれど嬉しい事じゃないか!
 あ、やあ!
 スー君達じゃないか。
 どうしたんだい、そんなに慌てて。
 僕がこうやってクラス内に現れた事に驚いたのかな?
 そうやって気を使われるなんて光栄じゃないか。
 君達が気を使ってもらえる程の価値があるといわれているようで僕の胸の内がとてもとても高鳴ってしかたない。
 それから椎名さん、お久しぶりだね。
 所で、僕の見間違えではなければ以前見たときよりもだいぶ怪我の数が多くなっているのは僕の見間違えなのかな?
 もしそう言うのなら僕は眼科にいかないと行けなくなる。
 それとも記憶力の問題かな。
 どっちにしろ病院に行かなければならないかの瀬戸際なんだ。
 だから、どうか正直に答えて欲しい」

昼休みに訪ねて来たスー君達、
もとい、テニス部全員が集まってきた。
すると椎名さんの怪我が増えているじゃないか。
報告は受けていたが僕が想像していたよりひどい。
次あたりは骨折でもするのじゃないかな?
あぁ、洒落にならないな。


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