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「これはダリアの花だね」
「そう。花言葉は知ってる?」
「勿論!
 ダリアの花言葉は
 『移り気』『華麗』『優雅』『威厳』『不安定』さ。
 君の趣味がそうだっと知っているから勉強しているんだよ」
「斎って意外と勉強熱心だよね、そう言う所」
「意外とって言わないでくれないかな。
 生憎とも時間はたくさんあるからね。
 僕は知識だけは幅広く持つ事だけは心がけているんだよ。
 話題に書けないようにね。
 おしゃべりな性格な僕にとって話題を欠ける事ほどに痛い事はないからね。
 それに知識というのはいくらあっても困る事はない」
「蓮二みたいな事を言うよね」
「彼の知識量には正直感服せざるを得ないよ。
 さすが参謀と言われるだけはあるよ。
 うんうん。
 あ、そういえば学校の方なんだけれどさ。
 僕がこの一連の騒ぎの収集をしたらきっと隠密な行動ができなくなるんだよね」
「まぁ、あれだけの事をやれば仕方無いだろ。
 というか俺、すっごく恥ずかしかったんだけど」
「えー、よく似合ってたじゃないか」
「斎の案は効果的だけど、やる方もだいぶダメージがあるの気づいてる?」
「気づかない僕じゃない!
 けれどその分楽しいだろ?
 味方を傷つけるだけで終わらせる程に僕は鬼畜じゃない。
 それで、隠密が無理になったんなら僕はきちんと立海にかようかなと考えているんだ。
 もちろん神の子のいるクラスにね」

僕の言葉に驚いたように振り向いた。
それから心配そうに僕を見つめる。

「斎の不眠症が治ってもないのに何言ってるんだ。
 それで倒れられたら元も子もない。
 実際、斎が学校で倒れた時は心臓が止まるかと思った」
「それはとても嬉しい発言だね」
「……シン」
「そんな表情しないでくれよ、精市君。
 大丈夫。
 精市君がいてくれるんだろう?
 こんな事になったら関係を隠す必要もないんだしね。
 それに君と一緒に学生生活を送ってみたくなった。
 保健室登校もなかなかに素敵だけれどどうもそれだけでは足りないみたいだ。
 僕は君がいればいくらでも強くなれる。
 それこそ、神様にだって、目じゃない」

シン、は英訳すると罪。sinだ。
けれど、メソポタミア神話では月神の名前でもある。
シンはアッカド語の名前だ。
エンリルの最初の子であり母はエンリルの配偶神ニンリル。
配偶神はニンガルで、子は太陽神シャマシュと金星神イシュタル。
シンボルは三日月で、三日月に似た角を持つ雄牛と深い結びつきを持つとされたんだ。
月を司り、大地と大気の神としても信仰されていたらしい。
その性質から「暦を司る神」とされ、同時に月に由来する神に多い農耕神としての側面を持ち合わせていたみたいだね。
わざわざ「ナッシングオール」の中からこの二文字を取り出したのは神の名前を意識したからだろう。
月神でもあるけれど「暦の神」としてのシンは「遠い日々の運命を決める」力を持っていたとされいてね。
彼の練る計画を知った神はいないとされている。
まぁ、そこあたりも僕らしいといえばらしいけれど。
僕は精市君にとってきっとそう言う存在なのだ。
僕は彼に助けられたけれど……。
精市君にとっては僕に何かを救われたのだろう。
彼はそのワケを語ろうとしないけれどかまわない。

「これからはずっと一緒だよ、精市君」
「シンがそれで、いいなら。
 俺はシンを守るよ。
 だからシンは俺の側にいてくれ」
「言われなくてもさ」

重なった唇を感じて、ふふっと笑った。
僕も愛されてるなー、なんてね!
まぁ、イジメも保健室登校だとどうも手が出しにくいのも事実。
ただでさえなるべく自分の力で、という制約があるのにさ。
そうだな。
今まで避けて来たけれどそろそろ嵐の二人にもう一度会う必要が出て来たみたいだね。


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