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「さてさて、本日は栄えあるキングとの婚約披露宴があるのだ!
 とはいえお互いの仲を引き裂く僕らにとっては最悪な婚約なので
 勿論、僕は様々な対策をしてきたのだ。
 しかし相手は大人。
 しかも質の悪い狸。
 妖怪狸爺だったのだ!
 僕らは彼らを倒せるのか、無事に意中の相手と結ばれるのか!?
 続く!!」
「続かねーよ、あーん?
 今日で終止符だろう。
 ラン、お前が持ち出した案だろうが。
 失敗するわけねーだろ。
 まぁ……お前らしいしょうもない方法だが」
「信頼してくれて嬉しいよ。
 今のは場を盛り上げる為の狂言だよ。
 ただこの案を発表して仲間にも神の子が協力するように頼んだらメールで苦情が来たんだよ!?
 酷いとは思わない!?
 ノリノリなのは詐欺師君ぐらいだよ!!」
「そりゃあ、そうだろうな……」
「最高に楽しい案だと思うんだよね。
 しかも、誤魔化しようがないしさぁ。
 あ、そう言えば頼んだのはどうだった?」
「……これだ。
 ランのわけわかんねぇ行動は慣れたが、今回のこれはどういう事だ?」
「そのうちわかるよ」

キングから書類を受け取りながら軽くあしらう。
僕もまだ、不確定要素としてるんだから。
書類にざっと目を通してから鞄にしまう。
なんだか面白そうな感じになってきたではないか。
うん。
僕の勘も当てになるじゃないか。
これで、今日の不安要素もどうにかなりそうで僕は一人満足げに頷いた。

「斎様、跡部様。お時間です」

ドアの外から中島が時間を告げてきた。
もうそんな時間か。
さて、一丁頑張りますかね!

「ついにだね。
 頑張ろうではないか、キングよ。
 そしてこれで終わりとは言え引導を渡すまではきちんと紳士的な対応を宜しく頼むよ、我が婚約者様?」
「わかってる。
 ……お手をどうぞ」

キングの差し伸べる手にそっと自分の手を重ねた。
キングは相変わらずこういうのは様になるね。
因みに言うと僕は伝統的にこういう場では着物。
それなりにお澄まし顔を決めなくてはいけないのがなんとも面倒な話しだ。
キングと共に会場に入るとたかれるフラッシュ。
マスコミの皆様も大変そうだねぇ。
自分の半分も生きていなであろう人間の追っかけをさせられるんだから。
僕はにこりと笑ってみせる。

「本日はーー」

定型文をつらつらと述べ、それでついにキングとの婚約発表となったその時。
事は起きた。

「その婚約、認めるわけにはいかない」

凛とした声と共に入ってきた人物。
タキシードを着て、仮面で目を隠している。
その後ろには4人の男が控えている。
格好は最初に発言した男とたいして変わりはない。
後ろにいた銀髪の男がニヤリとあざとく笑い何か玉を投げると、とたん白い煙が周りを覆う。

「イッツ・ショータイム!」

慌てる会場内に口角をあげて呟いた。
何を隠そう!!
あれは僕が提案した案なのだ。
披露宴で僕を誘拐。
だから侵入者のリーダーは勿論神の子さ。
皆にはしょうもないと言われたけれど。
けど一昔の漫画にありそうな展開で楽しいじゃないか。


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