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家で色々あったとはいえども学校がないわけもないので僕は渋々学校へ。
「最近の中学生は怖いねぇ……。
これを中学生である僕が言う権利があるのかは疑問だけど。
しかし僕には怖いように思うよ。
しかしだからこそそこにドラマは生まれる!
なんてね。
恋に恋するお年頃。
よく女子にいわれるけれど男子にそれを当てはめてもいいよね。
いっちょ前に嫉妬するのはいいと思うよ。
でも他人を巻き込んで被害を与えるのは人として!
きちんとセーブはかけるべきだと思うんだよ。
ファンクラブもそうあるべきだ。
ファンクラブ自体は否定しない。
テニス部の面々は魅力的な方々がそろっている事だしね。
しかしだからこそ、大切なテニス部の皆様がいい環境でテニスをできるようにすべきなんだよ。
それが真のファンクラブとしての在り方なんだ!」
「勉強になりますわ、霞ヶ丘様」
蠱惑的に笑みを作るファンクラブ会長の近藤美香。
彼女は情報提供者だ。
ファンクラブの情報網は舐めたらいけない。
時間はたくさんあったから物はついで。
以前から神の子が嫌がっていたファンクラブを掌握してみた。
仲良くなるといい子ばっかりだよ。
しかもこの子、何回か社交界で見かけた事あるし。
「本当に、椎名さん達は困った事ですよね。
テニス部の方々の練習量が減ったわけではございませんものの……。
あぁ、霞ヶ丘様に一つ、言っておく事がございますの」
「何かな?」
「霞ヶ丘様もご存知のように、私達は広大な情報網がございます。
しかし、他にも、一つありまして」
「ふぅん……。
美香ちゃん達の情報網はハンパないと思ってたけれど君が勧めるぐらいなんだから、相当だろうね。
何処の誰かな?」
「新聞部の部長ですわ」
「おっとぉ、そう来たか。
いやしかし、確かに盲点だったかもね。
当たり前すぎてスルーする所だったけれど案外、ああいう所の方が集まるか。
ありがとうね」
「霞ヶ丘様の役に立てて嬉しいです」
あぁ、もう!!いい子だなぁ!
それから僕は新聞部に向かうとその部長、そう確か鈴木京子がゆっくりと振り返った。
「霞ヶ丘、さん」
「ん?あれ?
僕の名前と顔を知ってるの?
何で?僕は保健室登校で教室にも現れないからさ。
初対面の人間に一発で当てられる可能性はほとんどと無いと思ってたんだけど。
どういう事かな?」
「椎名さんの事を調べてたし……。
ココ最近ちらちらとテニス部員の間で名前が出てた。
調べたら。
生徒会長。
なら、写真ぐらい見れるでしょう」
「なるほど。
近藤さんの言っていたようになかなかに優秀のようだ。
彼女も人の見る目があるねー。
じゃあ、僕がここに来た理由というのは、勿論?」
「ええ。
椎名さんの事。
私が知っているのはあの二人の間には何もない事。
周りが勝手にイジメだと思っている事。
それを……霞ヶ丘さんがどうにかしようとしている事」
「お見事!これなら最初からここに来た方が早かったね!
僕もそこまではたどり着いているんだよね。
じゃあ、賢くて、優秀な新聞部の部長さんはこれについてどう考えている?
僕に教えて欲しいな。
君の考えを。
僕のだいたいの情報はテニス部に関わりがある人ばっかりだからね。
完璧な部外者な君からの意見を聞いていたいな?
いいよね?」
「私には正直に興味意味が無いわ。
けど、やってる事はバカバカしくてそこそこ面白い。
所で最近、つい最近知ったけれど、あなたは幸村君と付き合っているの?」
「そうだね。
どうやって知ったのかは、聞かないでおこうかな。
お互い、情報はどうやって手に入れるかなんて聞きたい事はないしだろう?
まぁ、君と話していても僕の知っている事以上は得られないみたいだし、ね」
他からの情報も当てにならないね。
まぁ、いいけど。
いくら情報網がひろかろうが時間に制限にない僕のほうが遥かに色々とできる。
しかたない結果だろう。
もしかして、と思わなくはなかったけど現実はどうやら、しかたないみたいだ。
「そういえば、君は他校にも繋がってるの?」
「ないわ」
「そう」
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