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椎名さんは精神的に不安定になりやすいのかな。
この時期は繊細だからね。
自分が原因でこんな事になったらそりゃあ落ち込んだりしちゃうよね。
うんうん、わかるよその気持ち。
僕も昔はそうだったからさー。
落ち込んですぐ死にたくなるんだよね。
ま、そうなったらいつもどっからか神の子が現れるんだよ。
どうやってたんだろ。
未だにそれは謎だけれど愛故って事で納得してる。
ロマンチックでいいじゃないか。
女の子は何歳になっても乙女なのさ。
男の子が永遠の少年であるようにね。

「彼らの事を信じてあげなよ。
 きっと上手くいくさ。
 たぶんだけどね。
 成功は自分の手でつかみ取らないと。
 他人に頼っちゃいけないよ、いけないな。
 椎名さんも守られてばっかりは嫌だろ。
 それなら自分でも動かなきゃいけない。
 発言するだけなんて何もしない事と同じだよ。
 言葉はその根拠がなきゃ響かない。
 この僕が言っているんだから、確かだ。
 僕はこのようにおしゃべりだからさ。
 そこあたりはしかっかり身に染みている事さ」
「ありがとう。
 ってこう言うと礼は要らないって言うんだよね。
 霞ヶ丘さんはいい人だね」
「やめてくれよ!
 僕を褒めても何も出て来ないよ?
 あ、おまんじゅう食べる?」
「ちゃんと出てるし!というか良いの!?」
「アハハハハハ、ナイス突っ込みだよ!」

椎名さんも、いい人だろうね。
そうある事を願ってるよ。
まぁ、冗談だけど。
椎名さんと適当に情報、といってもたいした物はなかったけれど、情報収集して、僕は家でくつろいでいた。
パソコンで今までの情報整理をしていた所に一本の電話。

「霞ヶ丘です」
「……斎すまん」
「その声は父上じゃないか。
 開口一番で謝罪って事はよっぽどの事なんだろうね。
 父さんがこのタイミングで謝ってくるような事は限られているけれどまさか、それじゃないよね。
 それじゃないと言ってくれよ。
 そうしたらなんの為に僕が頑張ったと思ってるのさ。
 周りにも迷惑をかける。
 さぁ、違うと言ってくれ!」
「いや、恐らく斎が想像している事で合っている。
 本当に済まなかった。
 古参の奴らのが介入してきてな。
 俺にはどうにもならん」
「はぁ!?
 何だよそれ!
 父さんそれでも一族のトップなわけ!?
 情けないといったらありゃしない!
 それもことある事に邪魔をして、あの狸どもめ。
 僕の事がそんなに嫌いなのか?
 自分の利益ばっかりをむさぼる害虫め。
 いや、害虫ですら益虫に見えてくるよ。
 僕が霞ヶ丘を継いだ暁には
 全員綺麗にそろいにそろって綺麗に左遷してやる。
 九州の太宰府あたりにね。
 ふふふふふふふふふふふ…………!!」
「それはやめろ」
「温厚な僕でも、許せない事はある。
 堪忍袋の尾が切れた!!
 あいつらには祭の事もあるしね」
「祭の事は俺の責任だ。
 そのせいでお前も」
「僕はその事で父さん達を恨んでないよ。
 勿論、祭もね。
 僕がこうなのは自分の弱さからだ。
 まぁ、いいや。
 とりあえず連絡ありがとう、父さん」

まったく、あっちこっちで問題ばっかで嫌になるよ。
問題がなかった事はないけれど。
平和な世の中なはずなのに嫌になっちゃう!


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