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さぁ、忙しい忙しい!
上へ下への大騒ぎ!!
休む暇なんてなく働き蜂は走り回る。
さてはて、女王蜂はいったいだれなんだろうねえ?
椎名さん?
久遠さん?
それとも、この僕?
いやいやもしかして――。

「霞ヶ丘さん」
「なんだい椎名さん?
 何か僕に用事なのかな。
 いやいや別になくても 僕は大歓迎だけれども椎名さんはそんな感じじゃなさそうだしねぇ。
 僕でよければ何でも聞いてあげるよ。
 僕なんかで宜しければいっしょに知恵を振り絞る事もしてあげよう。
 それにしても君の騎士様はいったいどうしたんだい?
 いつも一緒に仲よく共にいるではないか。
 いや、実際の所どうなんだい?
 君はあのテニス部の中に誰か好きな人はいないのかな。
 ここは僕と椎名さんしかいないんだ。
 はっちゃけてみてくれないかな。
 なに恥ずかしがる事もない。
 椎名さんだって女子どうしでそんな話はするだろう。
 修学旅行みたいにさ。
 僕はひきこもりだから行った事はないんだよね。
 すごく残念な事だとは思わないか?
 人生におけて学園生活はとても大切な時間だ。
 それに参加できなかったって事は人生の半分ぐらいは損していると僕はそのように考えている。
 僕の青春はいったい何処に!!って思うよ。
 だけど引きこもりだけはどうしようもならないからね。
 諦めるしかない。時間はもどせないからね」
「えっと、どこから答えればいいのかな?」
「お好きに、好きな順番に答えていいよ」
「テニス部のみんなは友達で、恋愛感情はもってないよ。
 みんないい人だけど私にはまだ恋愛は早いみたい。
 それとブン太達はなんか忙しいみたいで……。
 この間、なんかジャッカル君と揉めてたみたいだし。
 そしたら絶対に真実を見つけ出すなんて行ってあっちこっち走り回ってるの。
 私、何が何だかわからないよ……」

うなだれていう椎名さん。
うん、エース君もスー君もいいように動いてくれているみたいだね。
裏でどうせ神の子達が上手く誘導してるんだろうけれど。
僕の仲間は一癖も二癖もあるからね。
比較的素直で真っ直ぐな彼らは。
神の子達に誘導されているとは露とも知らないはず。

「椎名さん。君は久遠さんの無実を主張しているんだろう。
 ならスー君達が君の言葉にようやく耳を貸してくれたんだ。
 良かったじゃないか。
 それにね、真実を見つけ出そうとする姿勢は大切な物なんだよ。
 大丈夫。
 スー君達ならきっと真実にたどり着くはずだ。
 僕も約束して君達に協力している。
 情報は混乱しても真実は一つだけ。
 そこには超然たる結果と言うものだけが残っている。
 それで十分なんじゃないかな。
 もっともそこまでには険しい道のりがあるかもしれない。
 それをそっと癒してあげるのが椎名さんの役目なはずだ。
 ねぇ、マネージャーさん?
 王者立海テニス部のマネージャーさんがこのぐらいで落ち込んでどうするんだい。
 もっと毅然とした態度で落ち着いて事にあたろうじゃないか」
「幸村君や真田君と似たような事を言うね。
 でもそうだねありがとう霞ヶ丘さん」
「いやいや礼はいらないよ。
 僕としても立海にこんな事は似合わないと思っている。
 一刻も早くの解決を望んでいる一人の乙女さ。
 そういや、椎名さんは久遠さんの事をどう思ってるのかな」
「久遠さんは、美人でカッコいい人。
 私、久遠さんのあのかっこよさに憧れてるんだ。
 それで友達になりたかったんだけど……なかなか上手くいかなくてね。
 それにこんな事になちゃって……」

ああ、また落ち込んじゃったよ。
落ち込ませる為に話題をふったわけじゃないのに。
別にどうでもいいけど。


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