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「目的は、何だ?」
「目的かい?
僕はね、君の部長に頼まれてね。
このささいな騒動によって多大な迷惑をかけているテニス部の為にこの騒動の真実をあばき、収集を付ける事さ。
君だって副部長の立場としてテニス部に出来始めた溝に何も思わないわけがないはずだ。
皇帝は責任感が高い男なんだろう?
僕はそう聞いているが。
だからそんな責任感の強い皇帝に、頼みがある。
僕を手伝ってくれないか?
僕もどうにかしたいんだよ。
共に、手を取り合って真実をあばき元の平和を取り戻そうではないか!!」
両手を広げ、大げさに演技のかかった台詞をはく。
「……そういうことなら協力はしよう」
「ありがとう。
ならこの映像も信じてくれるよね?
まさか皇帝が仲間の言葉を信じない最低な事はしないでしょう?
僕は皇帝がそんな人ではないと思っている。
お願いだから僕の事を幻滅させないでくれ。
ありがとう!それでこその皇帝だ!
器の違いと言う奴を見せつけられる。
僕も見習いたい限りだ。
僕はどうも器が小さくてしかたない。
今の所は僕、神の子、参謀、紳士、詐欺師そして君と言う事になる。
だから後はエース君とスー君に黒豆君だね。
共に頑張ろう!
ああ、神の子には僕の方から連絡しておこう。
それからあと、これを渡しておこう。
ボイスレコーダー付きのネクタイピンだ。
使い方は……見ればわかるから言わないよ?
わからなければ後で仲間の誰かにききたまえ。
それから、僕が生徒会長である事は秘密にね。
僕が動き回りにくくなるからさ。
さて、これで話は終わりだ。
教室に帰っていいよ。
悪かったね。時間を取らせて」
「構わない。では、失礼する」
パタン、と扉が閉められて生徒会室が静かになる。
そこでぽつりと参謀が霞ヶ丘は一般人と言えないと言った。
それに加え、最終的には脅してたじゃないか、とも。
全く、本当だよね。
「声優、雇えるだろ」
「余裕だね」
「声替えだって仁王がいる。
さりげなく音声の方も俺の手柄みたいな言い方したしな。
仁王の存在をちらつかせない為だろう?」
「エクセレント!!」
「しかも親友の能力を疑うような発言をあいつは出来ない。
しかも、本人の前でだぞ?
自分の三年間否定からって、馬鹿かお前は。
俺だって人間だ。ミスだってする」
「だろーねぇー」
「霞ヶ丘は結局、証拠がないくせに自信満々な顔でごり押ししてただけだ」
「だってさ普段叱る側の人間だろ?皇帝は。
だから怒濤のごとく話されなれてないんだよね。
自分は言ってるけれど。
しかも自身もどちらかと言えば寡黙な性質の人間だし、周りもそんな環境な事の方が多い。
それに彼は証拠を一回見せれば僕の言葉はよく効くのさ。
普段は相性最悪だけれども、それもやり方次第。
どうだった?
僕が詐欺師君の前で同じような手段使って興味あったんだろ?」
「ああ。良いデータがとれた。
しかし自分ではやろうとは思えないけれどな」
「あはははは!参謀も静かなタイプだしね。
それに頭の回転がある程度早い人間じゃないと無理だ。
それに関しては僕より参謀の方が早いだろうけれど、それでも僕みたいな意地わるーい手法は君は嫌いだろう?
できなくはないけれど、やりたくないか、成る程だね。
君のプライドも安くないからね。
ふふふ、それに僕もこれで売ってる。
そうそう簡単にマネされたくはなよ、僕もさ。
あのキングのお付きにもマネできない行為だからね」
これは僕の専売特許さ。
簡単な原理はできてないさ。
一見簡単にも見えてもね。
さて、とりあえずこれでミッションクリア、かな。
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