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『真田弦一郎君、今直ぐ生徒会室に来るように。
 もう一度繰り返します』

昼休みが始まりお弁当を食べ終えたであろうそんな時間に、僕はこんなアナウンスを流した。
それから走って生徒会室に行く。
何故かそこに参謀がいたけれど、自分がいたほうが話が早い。
自分も生徒会の一員だ、何がいて悪いといけシャーシャーと言うもんだから好きにさせた。
どうせ僕と皇帝の情報が欲しいだけだろうし。
もはや性癖といってもいいデータ収集をわざわざ禁止するのも悪いからね。僕って優しーー!

「真田です」
「どうぞ」

皇帝の渋い声がして入室の許可を出す。
たぶん予想外に先生ではなくどちらも生徒でしかも見知った顔だからか、心なし驚いているかのように見える。

「いらしゃい。わざわざ済まないね。
 僕が皇帝の事を呼んだのだよ。
 改めて、だね。
 僕は生徒会会長の霞ヶ丘 斎だよ。
 名前はこの前いったけれど職業は言ってなかったからねぇ。
 ま、座りなよ。
 そんな所にいつまでも突っ立ってないでさ。
 それなりに長い話になる予定だからね。
 もっとも皇帝の反応しだいでは五分で終わるかもしれないけれど」
「生徒会長だと?」

まぁ、生徒会長の存在はかなり色々と噂されてるからね。
空席なのは前代のたたりで就任者がことごとく怪我をしたせいだ、とか。
生徒会長は幽霊なのだー、とか色々ね。
実態はたんなるひきこもりなんだけれど。
事実というのは所詮、そんなものなんだよ。

「さて……参謀」
「承知した」

なんか今のやりとりがカッコいいなぁ!!
できるコンビみたい!
ふふふ、目指せシャーロックホームズ!

参謀が手に入れた映像+詐欺師君が手に入れた音声。
その二つを皇帝に見せる。
皇帝のタイプは証拠を見せた方がてっとり早いからね。
論より証拠と言う奴さ。
難しい顔で、もっとも普段から難しい顔してるけれど。
難しい顔で、その証拠を鑑賞する皇帝。

「……これが嘘かもしれない。
 真実であるという証拠は」
「ないね。ないよ。ぜんぜんない。さっぱりさ。
 でもさ、考えてみてよ。
 よくよく考えて欲しいんだけれどこれが仮に偽物であったとしよう。
 あくまでも仮にだ。
 さて、どうやって作ったと皇帝は言うのかい?
 僕たち一般人に他人の声をまねる程の技術はない。
 無理矢理にだよ、それもかなり無理にできた所で
 それか、これも一般人にはできないけれど声優かなんかをやっとてこの声をだしてもらおうとしよう。
 映像も、近くじゃないからね。
 背格好が似た人にやってもらってこの映像の二人が違う人物だったとしよう。
 でもそうやった所で、どれくらいの費用と手間が必要かわかるかい?
 そんな事をして僕らになんの得になる?
 真実を知ってもらって、僕らと同じ立場になってもらう?
 なるほど、確かにそれはできるかもしれない。
 けれどそれをしてまで皇帝が僕らと同じ立場になるとは言えない。
 そのリスクを抱えてなんでここまですると思うのかい?
 ちなみに、この映像が加工してない事を調べてもらえばわかるから調べたいなら幾らでも調べるがいいよ。
 それに君も知っているはずだ。
 これは僕の隣にいる優秀な生徒会の書記が手に入れた証拠だ。
 この参謀がどれほど優秀なのか……君は親友として良く知っているはずだよね。
 嫌と言う程知っているはずだ。この三年間をとおしてね。
 だから、嘘じゃないと言う証拠は、そうだね。
 参謀のプライドにかけて、とでも言えばいいのかな」
「勝手に人のプライドをかけるな」
「そいつは失礼。
 君はそれでもこの証拠を否定するのかな?
 ならばまず参謀の優秀さを見て来た三年間から否定しなきゃいけない。
 皇帝にはそれができるのかい?」

こう言いきった僕に、彼はまっすぐと参謀の方を見ている。
参謀は涼しい顔でその視線を受けている。
いつもどうり、の表情で。
さて、皇帝はどうでるかな?
どう出たって、仲間に引きずり込む気は満々さ。


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